日本で入手できるアウトブレッドラット(その4)です。
Jcl:Wistarは日本クレア社が生産している2種類のウィスターラットのうちのひとつです。
もう1種類は、BrlHan:WIST@Jcl(GALAS)というものでした。
Jcl:WistarはWistar研究所(米国)に由来します。
1970年にCarworth Farm(英国)より導入されました。
カタログ等によりますと
12週齢で、雄300g前後、雌200g前後。
中型。
各種要因に対して優れた感受性があり、特に学習能力に優れている。
行動薬理、毒性、薬理、薬効試験や安全性試験など、幅広い分野の研究に使用されている。
104週生存率は、雄で75.4%、雌で44.8%
導入後、40年以上経過していますので、ある程度近交化が進んでいると思われます。
以前、我々はこのJcl:Wistarラットでは、ピンクアイダイリューションという毛色変異遺伝子がホモに固定していることを見つけました(Kuramoto et al, Mammalian Genome 2005)。
Jcl:Wistarはアルビノなので、毛色変異を持っていてもその効果が表現型として見えません。
ところが、有色のラットと交配するとこの毛色変異の効果が表に現れます。
我々がこのことに気付いたのは偶然でした。
Jcl:Wistar由来のアルビノのKaken Hairless Rat (KHR)というラットと有色のBrown Norway (BN) ラットとの交配実験を行ったときに、毛の色が薄くて、ピンク色の眼をしたラットが生まれてきたのです。
BNラットはピンクアイダイリューション変異を持っていないので、KHRラットがこの変異を持っていることは確実でした。そして、その由来となったJcl:Wistarまでもがピンクアイダイリューション変異を持っていることが判明したのです。
参考資料
日本クレア株式会社総合カタログ
日本クレア株式会社ホームページ