2013年10月31日木曜日

日曜はじまり

今年もあと2ヶ月になりました。

来年の手帳を買いまいした。
私は、ほぼ日手帳をつかっています。
ほぼ日手帳は、日曜はじまりと、月曜はじまりがありますが、私は、日曜はじまり派です。
ほとんどのカレンダーが日曜はじまりなので、眼がなれてますから。

ほぼ日手帳の気に入っている点は、

1.毎年、ほぼ変わらないデザイン

2.ほぼ180°ひらく綴じ方

3.ほぼ片手に収まる大きさ

日曜はじまりはネットでしか買えません。
でも、付録があります。
ボールペンが毎年付いてきますが、このペンの書き味がまた素晴らしい。
三菱鉛筆株式会社のUNIジェットストリームというものです。
今年は黒色、替芯も1本ついてきました。



2013年10月29日火曜日

ツバメノート

実験の記録は大事です。
私たちの研究室では、ツバメノート株式会社の特A4版(A5001)というものを使っています。
通常のA4より少し、縦が長いです。

実験ノートをつける基本コンセプトは、
ノートが”独り歩き”してもわかるように。

最低限の決まりごとは、

1. 個々の実験をページ単位でつける
  ページの途中から、新しい実験の記録を記さない。

2.全てのページの1行目に実験日の日付を記入  

3.実験ごとに簡単なタイトル(目的)を記入

4.実験の材料と方法を記入

5.実験の結果を記入、あるいは、結果の写真を貼る

6.ペンで記入(鉛筆は使用不可)

7.関連資料はノートにペタペタ貼っていく

ページ単位でコピーすれば、即、報告資料となる。
それを目指しています。

ちなみに、ツバメノートの紙は、中性紙フルースというもので、「一万年以上永久保存が利く」、とのことです。


2013年10月25日金曜日

the Three Rs

医学生物学領域に関する国際原則 (The international Guiding Principles For Biomedical Research Involving Animals) は、10の原則からなります。
3つ目の原則です。

1. Animals should be used only when necessary and only when their use is scientifically and ethically justified.
(私訳)動物は、必要性があるとき、その利用が科学的および倫理的に妥当なときにのみ、使用されなければならない。
(解説)むやみに使用はできない。

2. The principles of the Three Rs - Replacement, Reduction and Refinement - should be incorporated into the design and conduct of scientific and/or educational activities that involve animals.
(私訳)Three RsすなわちReplacement、Reduction、Refinementの原則は、動物を用いた科学や教育活動の立案と実施に取り入れなければならない。
(解説)動物実験のThree Rsの原則は、ラッセルとバーチにより提唱された。動物実験を行うにあたり、できるだけ他の方法で置換 (Replacement) する。できるだけ使用動物数を減らす (Reduction)。洗練された手技で、動物に苦痛を与えない方法で動物実験を行う (Refinement) とされている。ようするに、できるだけ動物実験はしない。したとしても使用数は少なく。そして、動物にやさしく、ということです。

3. Scientifically sound results and avoidance of unnecessary duplication of animal-based activities are achieved through study and understanding of the scientific literature and proper experimental design.
(私訳)科学的に正当な結果を得たり、動物実験の不必要な重複を避けることは、科学文献の調査や理解、そして適切な実験計画によってもたらされる。
(解説)Three RsのReductionをどのように達成するかを述べています。これまでなされている実験を重複して行わないよう、実験計画の重要性が述べられている。


4. When no alternative methods, such as mathematical models, computer simulation, in vitro biological systems, or other non-animal (adjunct) approaches, are available to replace the used of live animals, the minimum number of animals should be used to achieve the scientific or educational goals.
(私訳)生きた動物の代替として、数学モデル、コンピューターシュミレーション、in vitroの系、動物を用いない手法などの他の手段が利用できない場合、科学あるいは教育の目標を達成するために用いる動物の数は最小限の数としなければならない。
(解説)ReplacementとReductionの原則


5. Cost and convenience must not take precedence over these principles.
(私訳)費用と便宜性がこれらの原則に優先することがあってはならない。
(解説)経費が高くついたり、不便なことがあっても、この原則を優先すること


どのような実験もそうですが、先行研究を精査し、適切な実験計画を立案することが重要です。

2013年10月24日木曜日

名前をみれば歴史がわかる:系統名

亜系統名の区別は、オリジナルの系統名の後ろに、「ラボコード」をつけることで区別すると、以前述べました。
http://takashikuramoto.blogspot.jp/2013/10/substrain.html

しかし、動物業者のカタログなどをみていると、複数のラボコードがついている場合がよくあります。
例えば、C57BL/6JJcl, C57BL/6JJmsSlc, C57BL/6NCrlCrlj などです。

これらの系統は、オリジナルの系統名が、C57BL/6 で、そのあとにラボコードが複数ついています。

ここで使われているラボコードとそのラボコードが示す研究所の名前は、以下の通りです。

  • J; ジャクソン研究所
  • Jcl; 日本クレア
  • Jms; 東京大学医科学研究所
  • N; 米国NIH
  • Crl; チャールスリバー
  • Crlj; 日本チャールスリバー
  • Slc; 日本エスエルシー

系統が分与されると、分与先で20世代経たのちに、分与先のラボコードを追加します。
これは世界的なとりきめです。

つまり、C57BL/6JJcl とは、オリジナルのC57BL/6 がジャクソン研究所(ラボコード:J)を経由して、日本クレア(ラボコード:Jcl)に分与され、現在まで維持されいている系統、ということになります。

ラボコードの検索は、以下のサイトで可能です。
自分の使っている系統がどのような歴史をもっているか調べてみてはいかがでしょう?







2013年10月21日月曜日

SPF動物とは

実験動物、とくにマウスやラッでは、SPFという言葉がよく出てきます。
このマウスはSPFですか?このラットはSPFですか?というぐあいです。

SPFとはいったいなんでしょう?
これは、Specific Pathogen Freeの略で、直訳すれば、「特定の病原体がいない」となります。
「特定の病原体」というのがイメージしにくいかと思います。
私は、「特定の病原体」というよりも、「指定された病原体」と意訳した方がイメージしやすいのではと思っています。
つまり、「このリストに載っている○○、××、△△といった病原体をもっていない」ということです。

では、これらの病原体は、誰が指定するのでしょう?
病原体のリストは誰が指定するのでしょう?

このリストは、SPF動物を飼育する施設が指定します。
例えば、A施設ではAという病原体のリストを作成し、「我々の施設では、このリストに載っている病原体を持っていない動物をのみを飼育します」とあらかじめ宣言しておくのです。

この考え方は、ヒトや家畜の感染症の予防法の考え方に立脚したものです。
身近な例では、インフルエンザにかかると学校を休まなければなりませんね。
インフルエンザは「学校において予防すべき伝染病」としてあらかじめ法律によって指定されています。
つまり、「日本の学校では、インフルエンザをSpecific Pathogenとして指定しており、それをもたない(Freeな)学童のみを学校に来させる」とあらかじめ決めています。

このような考え方では、人間もSPFです。

2013年10月20日日曜日

to ensure that the highest standards of scientific integrity prevail

医学生物学領域に関する国際原則 (The international Guiding Principles For Biomedical Research Involving Animals) は、10の原則からなります。
2つ目の原則です。

1. The use of animals for scientific and/or educational purposes is a privilege that carries with it moral obligations and responsibilities for institutions and individuals to ensure the welfare of these animals to the greatest extent possible.
(私訳)科学や教育目的で動物を使用することは、特権であり、この特権には研究所や実験者が動物の福祉を可能な限り最大限確保する道徳的義務と責任が付随する。
(解説) 動物実験は、無制限の特権ではない、そこには義務と責任がついてくる。

2. This is best achieved in an institution with a culture of care and conscience in which individuals working with animals willingly, deliberately, and consistently act in an ethical, humane and compliant way. 
(私訳)このことが最も達成されるのは、ケアと道義心の文化をもつ研究所においてである。そのようなところでは、個々の実験動物従事者は、倫理的、人道的、法律に従った方法で、積極的に、ていねいに、首尾一貫して行動している。
(解説)動物福祉を保証する義務や責任をはたすには、機関・研究所単位での実践が必要。

3. Institutions and individuals using animals have an obligation to demonstrate respect for animals  to be responsible and accountable for their decisions and actions pertaining to animal welfare, care and use, and to ensure that the highest standards of  scientific integrity prevail.
(私訳)動物を用いる研究所や研究者には、動物に対する尊敬の念をあらわす義務がある。そして、動物の福祉、ケア、利用に関する自分たちの決定や行動に責任をもち、説明しなければならない、また、最高水準の科学の健全性が普及するよう務めねばならない。
(解説)まず、動物に対する敬意、犠牲になってくれていることに対する敬意、を表すこと。このような敬意をもって、説明責任と科学的健全性(他の誰にも影響されない中立的な)の普及に努める。


最後の分のscientific integrityという言葉は、初めてみる言葉です。
日本語では、「科学の健全性」と呼ばれているようです。
http://satoyasushi.blogspot.jp/2010/12/scientific-integrity.html


科学技術に関する情報が、たとえば政治的な圧力などによって、不当に曲げられないように、というような意味合いでしょうか。

2013年10月18日金曜日

コスト&ベネフィット

医学生物学領域に関する国際原則 (The international Guiding Principles For Biomedical Research Involving Animals) は、10の原則からなります。
ひとつずつ見ていきましょう。

The following principles should be used by the international scientific community to guide the responsible use of vertebrate animals in scientific and/or educational activities.
(私訳)国際科学コミュニティは、科学活動や教育活動における脊椎動物の責任ある利用を案内するために、以下の指針を利用しなければならない。
(解説)should は、「~べき」ではなく、より強く、「ねばならない」としました。この原則はあくまで脊椎動物が対象です。

原則1
1. The advancement of scientific knowledge is important for improvement of human and animal health and welfare, conservation of the environment, and the good of society.
(私訳)科学的知識の進展は、ヒトや動物の健康と福祉、環境の保全、社会の幸福の向上に重要である。
(解説)ヒトや動物、環境、社会が対象になっています。

2. Animals play a vital role in these scientific activities and good animal welfare is integral to achieving scientific and educational goals.
(私訳)動物はこれら科学的活動において中心的な役割を果たしている。また、優れた動物福祉は科学的および教育上の目的達成のためになくてはならないものである。
(解説)動物福祉の重要性

3. Decisions regarding the welfare, care, and use of animals should be guided by scientific knowledge and professional judgement, reflect ethical and societal values, and consider the potential benefits and the impact on the well-being of the animals involved.
(私訳)動物の福祉、ケア、利用に関する決定は、科学的な知識と専門的な判断によってなされなければならない。また、倫理的、社会的価値にを反映しなければならない。さらに、潜在的な利益と動物の健康・福祉への影響を考慮しなければならない。
(解説)一文を3つの文に分けています。最後の部分ですが、動物実験についての「コスト&ベネフィット」の考え方が反映されていると思われます。動物実験の「潜在的(ヒトへの)利益」と「動物の健康への影響」これをてんびんにかけて「潜在的利益」が優位であれば、動物実験は正当化されるという考え方です。

2013年10月17日木曜日

a privilege entrusted by society

国際医科学機構評議会 (Council for International Organizations of Medical Sciences, CIOMS) の医学生物学領域に関する国際原則 (The international Guding Principles For Biomedical Research Involving Animals) が2012年12月に改訂されました。
今回は、1985年に公表されたものを、CIOMSとICLAS (International Council For Laboratory Animals Science) が協働で改訂しました。
原文は英語版のみです。
日本語訳が、日本実験動物協会の情報誌LABIOに出ています。
これは、東北大学の笠井先生が中心となって翻訳されたものです。

前文の最終段落です。英語の原文のあとに、笠井訳を参考に、私訳と解説をのせます。
1. The use of animals in research, education and testing is an essential component of the advancement of our understanding about human and animal function.
(私訳)研究、教育、試験に動物を用いることは、ヒトや動物の機能に関する我々の理解を進展させるための必須の構成要素である。
(解説)動物実験は、我々の理解を進展させるための、ひとつの構成要素にすぎないが、必須のもの。ヒトのためだけにあるのではない、動物のためでもある。

2. This knowledge is important for advancing human and animal health and welfare throught disease prevention and cures, new treatments, and drug and device development.
(私訳)この知識は、疾患の予防と治療、新しい治療法、薬や機器の開発を通して、ヒトと動物の健康と福祉を進展するために重要である。
(解説)医学生物学領域に関する国際原則なので、疾患の治療や予防を、中心に考えている。

3. The scientific community, understanding that using animals is a privilege entrusted by society, remains committed to ensureing the health and welfare of animlas as an integral consideration when animals are used for these purposes.
(私訳)科学コミュニティは、動物を用いることが社会から委ねられた特権であることを理解し、動物が上記の目的のために用いられる際に欠くことのできない配慮として、動物の健康と福祉を確保するよう全力を傾けるなければならない。
(解説)動物実験を行うことは、社会から特別に許された権利。それゆえ、義務が発生する。その義務とは、動物の健康と福祉に確保するよう全力を傾けること。

私が注目したのは、"using animals is a privilege entrusted by society" の部分です。
こういう考え方があるために、動物実験を行うためのライセンス制や、社会への説明責任という考え方が出てくるのだと感じました。

2013年10月14日月曜日

エアシャベル

天気が良かったので京都府立植物園に行きました。
芝生広場は家族連れが多く、子供たちが駆け回っていました。
植物園は桜の名所でもあり、春は多くの花見客でにぎわいます。
しかし、桜の木の多くは、昭和30年代に植えられたもので、そろそろ寿命とのことです。
また、花見客が多いためか、桜の根元は踏み固められ、桜にとってよくない状況です。
桜の寿命を延ばすため、樹勢を回復させるために、植物園では、桜の木の周りの土を掘り返すことにしました。
しかし、普通のスコップやショベルカーで掘り返すと根を痛めます。
そこで、登場したのが「エアシャベル」
圧縮空気で土を掘り返すというものです。
桜の木の根元東西南北4か所に、1m×2mの穴をこのエアシャベルで掘り返し、そこに通水性、通気性のよい土を入れました。
大温室の北側の一角に植わっている桜に、この処置を施したとのことです。
さて、その効果はいかに?
来年の春が楽しみです。

2013年10月13日日曜日

吉田地区のお祭り、神幸祭

吉田地区の氏神様、今宮社のお祭り、神幸祭が行われました。
今宮社は、吉田神社本殿の麓にあります。
吉田地区の氏神様とのことで、吉田神社よりも古くからこの地にあるそうです。
毎年、この時期に、御神輿が町内を練り歩きます。
京都大学の本部も吉田地区にあるので、御神輿がやってきます。

2013年10月11日金曜日

亜系統 (substrain)

兄妹交配を20回以上続けると、近交系として扱うことができると、先に述べました。
しかし、この時点で、ゲノム全体の約2%はまだ固定していません。
マウスやラットの近交系は、系統として確立できた後に、他の研究者へ研究材料として分与されることがよくあります。

わずかな領域でもゲノムがまだ固定していない近交系が、分岐した場合どんなことがおこるでしょう?
つまり、ある近交系が、もともと確立された場所で維持される場合と、分与先で維持される場合が、どんなことがおこるでしょう?
ゲノムの固定されていない領域が、2つの場所で、それぞれ別個に固定されることが予想されますし、実際そうなります。
そうなると、同じ近交系Aでも、X研究所の近交系Aと、Y研究所の近交系Aは、ゲノムレベルで異なることになります。

当然、ゲノムが異なれば、表現型も異なることが予想されます。
そこで、X研究所の近交系Aと、Y研究所の近交系Aを区別する必要がでてきます。
区別をするには?
そう、名前を変えればいいのです。ただ、両者は、もともとは同じ系統であったわけですから、それがわかるような系統名しておく方がよいでしょう。

そこで、考え出されたのが、(オリジナルの系統名)+(/スラッシュ)+(ラボコード)という表記法です。
ラボコードとは、研究所固有の標識みたいなもので、アルファベットの組合せからなります。
例えば、京都大学大学院医学研究科附属動物実験施設であれば、[Kyo]です。
ラボコードは、重複がないように、国際的に管理されています。

さて、X研究所の近交系Aと、Y研究所の近交系Aは、どのように表記されるでしょう?
X研究所のラボコードをXj、Y研究所のラボコードをYj、としましょう。
そうすると、X研究所の近交系Aは、A/Xj とあらわすことができ、Y研究所の方は、A/Yj となります。
A/Xj と A/Yj、区別できましたね。

「中身が違えば、名前も変える」
あれっ、どっかで聞いたことがあるような。。。

A/Xj と A/Yj、いずれも近交系です。
そして、同じ系統から由来する系統同士を、亜系統と呼んでいます。

2013年10月10日木曜日

save as

実験データの記録や論文作成などで、ファイルをやり取りすることがあります。
受け取った側は、受け取ったファイルにデータを追加したり、ファイルを改訂したりします。
当然、改訂したファイルは、受け取ったファイルとは異なります。
だから、ファイルを保存するとき、上書き保存[save]ではなく、別名で保存[save as]しています。
改訂したファイルをもとの送り手に送り返した場合、もとの送り手の手元には、オリジナルのファイルと改訂されたファイルが、別のものとして残るからです。
上書き保存した場合は、内容は異なっていても、同じ名前のファイルがとどくことになります。
どちらが、オリジナルなのか、改訂版なのか、わかりません。
「内容が違えば、名前も変える」この基本コンセプトでファイル管理しています。

ちなみに、どのようにファイル名を変えるかですが、私は次のようにしています。
(オリジナルのファイル名)+_(アンダーバー)+(日付6ケタ)+(イニシャル)
これだと、改訂した日付と誰が改訂したか一目でわかると思います。

2013年10月8日火曜日

なぜ、兄妹交配は20回必要か?

動物実験に用いるマウスやラットでは、それらの遺伝的な均一性を保つために、近交系 (inbred strain) というものを作製します。
近交系の作製には、生まれてきた同腹の雄と雌をかけ合わせて、その産子を得る。
そして、その産子の中の雄と雌をかけ合わせて、さらに、産子を得る、ということを繰り返します。
このような同腹の雄と雌を交配することを、兄妹交配といいます。
兄妹交配を20回以上繰り返すと、近交系として確立できた、といえます。

兄妹交配を繰り返していくと、任意の遺伝子座がある対立遺伝子のホモ接合(例えば、a/a, A/A)となります。
そして、同じタイプの対立遺伝子のホモ接合同士が、掛け合わさるようになります。
このようなタイプの掛け合わせをを「インクロス」といいます。

インクロスから得られる遺伝子型は、ひとつしかありません。
例えば、a/a X a/a から得られる遺伝子型は、a/aのみ。
つまり、一度、a/a X a/a のようなタイプのかけ合わせがおこると、その遺伝子座は、次世代以降つねに、a/a X a/a の掛け合わせとなり、得られる遺伝子型は、a/a のみとなります。
このような状態を、遺伝子座が固定したといいます。

兄妹交配を20回以上続けると、全遺伝子座の98.0%でインクロスがおこると理論的にいわれています。
この数値をもとに、兄妹交配を20回以上=近交系、としているのです。

でも、残り2%の遺伝子座では、まだ、遺伝子座は固定していません。
そこで、さらに、兄妹交配を続けます。
兄妹交配40回でインクロスの確率は99.97%、60回で99.99%と計算されます。

近交系の理論を、以前、LABIO21という日本実験動物協会の情報誌で発表しました。
許可を得て、以下のHPで掲載しています。
http://www.anim.med.kyoto-u.ac.jp/Kuramoto/contents/ExpAnimGenet.htm

2013年10月7日月曜日

荒神橋より

鴨川って、とてもいい川だと思います。
都市部を流れている。
流れが穏やかで、そこそこきれい。
河川敷が整備されている。
周囲に高い建物がなく、ひろびろしており、遠くまで見通せる。
いろいろ、理由がありますが、なんといっても、一番の理由は、「川のなかに入ることができる」と思います。

都市部の川で、川のど真ん中まで入ることができる川はそうそうないのでは?

2013年10月5日土曜日

動物実験とは、

動物実験とは、動物を用いた実験です。
『広辞苑第四版』によりますと、実験(experiment)とは、理論や仮説が正しいかどうかを人為的に一定の条件を設定してためし、確かめてみること、です。
つまり、動物実験とは、動物を用いて、理論や仮説が正しいかどうかを人為的に一定の条件を設定してためし、確かめてみることです。

実験には再現性が求められ、当然のことながら、動物実験にも再現性が求められます。

さて、動物実験の再現性に影響を及ぼすものは何でしょう?
主要なものを4つあげます。
それは、1)試薬や器具など、2)飼育環境、3)動物、4)実験技術、です。

動物実験の再現性を確保するために、これら全てに再現性が求められます。
  1. 試薬や器具は、いつでも一定の品質をもったものを用意できます。
  2. 飼育環境は、温度や湿度などです。現在では、動物実験を行うための専用の施設が準備されています。
    そこでは、高度な空調設備を使って、1年を通して、一定の環境が保たれています。
  3. さて、動物はどうでしょう?
    動物がいつでも一定の品質を保つには、その品質に影響を及ぼす要因を考える必要があります。
    その要因とは、遺伝と環境です。先ほど述べたよう、環境は一定に保たれている訳ですから、遺伝要因を一定保つ必要があります。
    この遺伝要因を一定に保つために考え出されたのが、近交系(古くは、純系ともよばれていた)という概念です。
    近交系については、後日、説明します。
    近交系というものをつかい、遺伝的にばらつきのない、均一な動物をつくることで、動物の品質を一定に保っています。
  4. 最後に、動物実験技術です。
    これは、人間が行うことです。マスターするには、練習する必要があります。
    有能な技術者であれば、動物に対し、つねに一定の処置を施すことができます。

このように、動物実験は様々な要因を一定に保つことで、その再現性を確保しています。


2013年10月4日金曜日

いつもお世話になっております

メールは我々の日常生活に欠かせないものとなっています。

メールを仕事で使う場合、私が最も心がけていることはといえば、
  1. 書式は、テキスト形式で
  2. 署名(氏名、所属、電話番号、メールアドレス)を必ずつける
  3. 挨拶文と結びのことばを入れる

以上の3点でしょうか。
書式については、メールの容量を少なくするために、HTML形式ではなく、テキスト形式にしています。

署名は、全てのメールに自動的に付けるよう設定しています。
これは、私への連絡をスムーズにするためです。
ある人に、電話をしたい、郵便物を送りたい、となった場合、その人からのメールを見る場合が多いと思います。
その時に、氏名のみで、住所や電話番号がなければ、住所録を検索するか、下手をすると、名刺を探す羽目になります。
このような手間を、相手にさせないために、全てのメールに署名を付けています。
それと、以前は英語の署名としていましたが、現在は、日本人にメールを出すときは日本語の署名にしています。

最後の、あいさつ文と結びのことばは、相当親しい方に出す以外は、必ず入れるようにしています。
あいさつ文は、「いつもお世話になっております。」
久しぶりに出す相手には、「お世話になっております。」
そして、結びの言葉は、「お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いします。」
または、「今後とも、よろしくお願いします。」

他にも色々ありますが、この3点はいつも気をつけています。

2013年10月3日木曜日

動物実験に関する技術を習得する理由

学生さんに基礎的な動物実験技術を体験してもらっています。
実習に先立ち、動物実験技術を習得する必要性を説明します。
はたして、これでみんな納得するでしょうか?

  1. これから、みなさんは動物実験をします
  2. 動物実験は医学の発展に不可欠です
  3. 動物実験を行うには、技術を習得する必要があります
  4. みなさんは、今後、医学に係っていきますね
  5. だから、みなさんは、動物実験技術を習得する(少なくとも知識を得る)必要があります
  6. この実習では、動物実験技術のうち、もっとも基本的な技術を学びます

自分で説明していてなんですが、私が生徒であれば、つっこみどころ満載です。
まず、2.の文章ですが、本当にそうでしょうか?
別に、動物実験をしなくても医学の発展はあるでしょう。
簡単に反論されますね。

3.の文章は、まあよし。4.もOK。

5.は、2~4.から導出されているのですが、正しいでしょうか?
先に書いたように、2.が否定されれば、前提がくずれるのでアウト。

2.が正しいとした場合は、どうでしょう?
医学に係るから、医学の発展に不可欠な動物実験を進めるための動物実験技術を習得する必要がある。
医学への係り方も、動物実験だけではなく、臨床や保健行政など色々あるわけで、動物実験技術を学ぶ必然性はないと思います。
と、学生に言われたら、そうだよな、って言うしかありませんね。

社会に対しても、動物実験の必要性を説明する際には、このあたりを論理的に説明できるようにしておく必要があると思っています。

2013年10月2日水曜日

リーダの辞意は慰留すべきか?

京都大学に赴任して、11年と半年。きりがいいので始めてみた。

リーダーとは、組織の進退を最終決定する存在だ。
また、優秀なリーダーとは、決断を下すにあたり、組織内の様々な人の意見を聞き、状況を勘案し、判断するはずだ。
さて、リーダーが辞意を申し出たとき、それを遺留すべきかどうか?
私は慰留すべきでないと思う。
なぜなら、リーダーの辞意は、単なるリーダー個人の気持ちではなく、その組織のリーダーとしての最終決定であるからだ。
その決定は、最大限尊重されるべきである。
リーダーの辞意(決定)の否定は、リーダーの決断力・判断力への否定、リーダーの否定、組織の否定、さらには、組織のメンバー(自分自身)の否定に他ならない。

もし、リーダ―に辞意に対して、慰留を唱える人がいれば、その人はリーダーを尊重しているようで、実は、否定している、と言わざるをえない。