医学生物学領域に関する国際原則 (The international Guiding Principles For Biomedical Research Involving Animals) は、10の原則からなります。
ひとつずつ見ていきましょう。
The following principles should be used by the international scientific community to guide the responsible use of vertebrate animals in scientific and/or educational activities.
(私訳)国際科学コミュニティは、科学活動や教育活動における脊椎動物の責任ある利用を案内するために、以下の指針を利用しなければならない。
(解説)should は、「~べき」ではなく、より強く、「ねばならない」としました。この原則はあくまで脊椎動物が対象です。
原則1
1. The advancement of scientific knowledge is important for improvement of human and animal health and welfare, conservation of the environment, and the good of society.
(私訳)科学的知識の進展は、ヒトや動物の健康と福祉、環境の保全、社会の幸福の向上に重要である。
(解説)ヒトや動物、環境、社会が対象になっています。
2. Animals play a vital role in these scientific activities and good animal welfare is integral to achieving scientific and educational goals.
(私訳)動物はこれら科学的活動において中心的な役割を果たしている。また、優れた動物福祉は科学的および教育上の目的達成のためになくてはならないものである。
(解説)動物福祉の重要性
3. Decisions regarding the welfare, care, and use of animals should be guided by scientific knowledge and professional judgement, reflect ethical and societal values, and consider the potential benefits and the impact on the well-being of the animals involved.
(私訳)動物の福祉、ケア、利用に関する決定は、科学的な知識と専門的な判断によってなされなければならない。また、倫理的、社会的価値にを反映しなければならない。さらに、潜在的な利益と動物の健康・福祉への影響を考慮しなければならない。
(解説)一文を3つの文に分けています。最後の部分ですが、動物実験についての「コスト&ベネフィット」の考え方が反映されていると思われます。動物実験の「潜在的(ヒトへの)利益」と「動物の健康への影響」これをてんびんにかけて「潜在的利益」が優位であれば、動物実験は正当化されるという考え方です。