Jcl:SDは日本クレアが生産、販売しているSDラットです。
1964年に米国チャールスリバー社から導入されました。
大型で温順な性格。
安全性試験を始め、薬理・毒性・生化学・栄養など幅広い分野で使用されています。
参考資料
日本クレア総合カタログ
2015年4月3日金曜日
Crl:CD (SD) - チャールスリバーのSDラット
Crl:CD (SD)は、日本チャールスリバーで生産、販売されているSDラットです。
CDというのは、Ceasarean Derivedの略で、帝王切開により微生物クリーニングされたコロニーに由来するという意味です。
由来は、1950年にSprague Dawley Inc.から米国チャールスリバーに導入され、その後、世界各国のチャールスリバーに分与されました。
1991年に、世界各国の生産施設で生産されているCD(SD)ラットの遺伝的なばらつきを標準化するために、それぞれの国のチャールスリバー生産施設のCD(SD)ラットコロニーから100ペアのCD(SD)ラットが選抜されました。
この100ペアの親種から生まれた200腹分の産子を基に、米国マイアミ州のWilmingtonにて、IGS Foundationコロニーが設立されました。
1994年に日本チャールスリバーに導入され、1997年にFoundationコロニーはアイソレーター内に移されました。
比較的大型で発育が良い。
繁殖性良好
おとなしく取り扱いやすい
参考資料
日本チャールス・リバー株式会社2014総合カタログ
Charles river technical sheet; International Genetic Standardization (IGS) Program
CDというのは、Ceasarean Derivedの略で、帝王切開により微生物クリーニングされたコロニーに由来するという意味です。
由来は、1950年にSprague Dawley Inc.から米国チャールスリバーに導入され、その後、世界各国のチャールスリバーに分与されました。
1991年に、世界各国の生産施設で生産されているCD(SD)ラットの遺伝的なばらつきを標準化するために、それぞれの国のチャールスリバー生産施設のCD(SD)ラットコロニーから100ペアのCD(SD)ラットが選抜されました。
この100ペアの親種から生まれた200腹分の産子を基に、米国マイアミ州のWilmingtonにて、IGS Foundationコロニーが設立されました。
1994年に日本チャールスリバーに導入され、1997年にFoundationコロニーはアイソレーター内に移されました。
比較的大型で発育が良い。
繁殖性良好
おとなしく取り扱いやすい
参考資料
日本チャールス・リバー株式会社2014総合カタログ
Charles river technical sheet; International Genetic Standardization (IGS) Program
2015年4月2日木曜日
Slc:SD - 日本エスエルシーのSDラット
日本で生産されているアウトブレッドラットのうちSDラットを紹介していきます。
SDラットは、Sprague Dawley ラットの略です。その由来は以前紹介しました。
「妻の旧姓をつけられたラット」
また、SDラットの使用数は、Wistarラットの倍程度です。
「SD6割、Wistar3割」
さて、Slc:SDですが、1968年に米国チャールスリバー社から、日本エスエルシーに導入されました。その後、生産と供給が行われています。
性質温順で取り扱い易い。
比較的大型で発育良好。
繁殖性良好。
安全性試験や薬理試験等に幅広く使用されています。
参考資料
日本エスエルシーカタログ
日本エスエルシー2013実験動物データ集
SDラットは、Sprague Dawley ラットの略です。その由来は以前紹介しました。
「妻の旧姓をつけられたラット」
また、SDラットの使用数は、Wistarラットの倍程度です。
「SD6割、Wistar3割」
さて、Slc:SDですが、1968年に米国チャールスリバー社から、日本エスエルシーに導入されました。その後、生産と供給が行われています。
性質温順で取り扱い易い。
比較的大型で発育良好。
繁殖性良好。
安全性試験や薬理試験等に幅広く使用されています。
参考資料
日本エスエルシーカタログ
日本エスエルシー2013実験動物データ集
2014年9月25日木曜日
SD6割、Wistar3割
実験動物の年間総販売数調査のつづきです。
平成25年度のラットの総販売数は約122万頭でした。
そのうちアウトブレッドラットは約109万頭でした。
その内訳をみてみましょう。
販売数の多い順に、販売数と全体に占める割合を示します。
Sprague-Dawley 70万頭(63%)
Wistar 33万頭(31%)
Wistar-Imamichi 2.7万頭(3%)
Wistar-Hannover 2.4万頭(2%)
Long Evans 1.4万頭(1%)
その他
日本で販売されるアウトブレッドラットは、ざくっと、6:3でSDとWistarとなるようです。
平成25年度のラットの総販売数は約122万頭でした。
そのうちアウトブレッドラットは約109万頭でした。
その内訳をみてみましょう。
販売数の多い順に、販売数と全体に占める割合を示します。
Sprague-Dawley 70万頭(63%)
Wistar 33万頭(31%)
Wistar-Imamichi 2.7万頭(3%)
Wistar-Hannover 2.4万頭(2%)
Long Evans 1.4万頭(1%)
その他
日本で販売されるアウトブレッドラットは、ざくっと、6:3でSDとWistarとなるようです。
2014年9月24日水曜日
122万頭
日本におけるラットの販売数が激減しているようです。
公益社団法人日本実験動物協会が「平成25年度実験動物の年間総販売数調査報告書」を出しました。
この調査は昭和60年度から3年に一度、実験動物生産者の年間販売数を調査し、実験動物数の動向を調べるものです。
今回、平成25年度一年間に販売・供給された実験動物の数が公表されました。
調査対象は、実験動物を生産している企業、大学・独立行政法人で、合計43社・機関です。
マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、サル類、ブタ、ヤギ、めん羊、鳥類について調べています。
ナショナルバイオリソースプロジェクト「ラット」を実施しているものとしては、ラットの販売数が気になるところです。
さて、そのラットですが、年間の総販売数が122万頭で、前回3年前(平成22年度)に比べ、42.7万頭減(25.9%減)となっています。
122万頭の内訳を以下に示します。
平成22年度→平成25年度
アウトブレッド: 146万頭→109万頭(25.4%減)
近交系: 15.4万頭→9.6万頭(37.7%減)
ミュータント系: 3.1万頭→3.4万頭(9.1%増)
これらからわかるように、販売数減少の主な要因は、もともと総販売数の大半を占めていたアウトブレッドラットの販売数減少です。
アウトブレッドラットは、薬効試験や安全試験に使用されています。製薬企業の研究所の集約化や閉鎖を反映して、アウトブレッドラットの使用数が減少したものと思われます。
一方、ミュータント系統は利用が増えています。薬効試験を行うにしても安定的な表現型を示すミュータント系で実施する傾向になっているのでしょう。
2014年7月25日金曜日
Slc:Wistar/ST - 日本エスエルシーのウィスター
日本で入手できるアウトブレッドラット(その6です)。
Slc:Wistar/STは、日本エスエルシーが生産している2種類のウィスターラットのうちのひとつです。
もう1種類は、Slc:Wistarというのもでした。
1974年、東京大学医科学研究所から導入されました。
10週齢で、雄300g前後、雌200g弱と比較的大型です。
Slc:WistarはかなりF344ラットと似た表現型を示します。
しかし、このSlc:Wistar/STはいわゆる”ウィスターラット”で、体型が大型、性質温順です。
STの由来は、SLC Takagi であると耳にしたことがありますが、本当のところは知りません(Takagiは日本エスエルシー社の経営者の苗字です)。
参考資料
日本エスエルシー株式会社総合カタログ
Slc:Wistar/STは、日本エスエルシーが生産している2種類のウィスターラットのうちのひとつです。
もう1種類は、Slc:Wistarというのもでした。
1974年、東京大学医科学研究所から導入されました。
10週齢で、雄300g前後、雌200g弱と比較的大型です。
Slc:WistarはかなりF344ラットと似た表現型を示します。
しかし、このSlc:Wistar/STはいわゆる”ウィスターラット”で、体型が大型、性質温順です。
STの由来は、SLC Takagi であると耳にしたことがありますが、本当のところは知りません(Takagiは日本エスエルシー社の経営者の苗字です)。
参考資料
日本エスエルシー株式会社総合カタログ
2014年7月24日木曜日
Slc:Wistar - 日本エスエルシーのウィスター
日本で入手できるアウトブレッドラット(その5)です。
Slc:Wistarは日本エスエルシー社が生産しているウィスターラットです。
1968年に東京大学医科学研究所から導入されました。
10週齢で、雄250g前後、雌150g前後と比較的小型です。
このSlc:Wistarラットは確かにアウトブレッドラットですが、その遺伝的組成はF344(Fischer)ラットと非常に似ていることが以前から指摘されています。
例えば、成長曲線、生存率、腫瘍の発生部位や頻度などがF344ラットと類似していることが指摘されています。また、Slc:Wistarで得られた白血病細胞がF344ラットに移植できることから免疫系の類似点も指摘されています。
毒性学の分野では、Slc:WistarはF344に非常に似ているということはよく知られているようです。
内閣府の食品安全委員会の農薬専門調査会評価第二部会の委員のひとりがこんなことをおっしゃています。
「・・・このSlc:WistarはもともとFischerラットですので、・・・」
食品安全委員会 農薬専門調査会 評価第二部 第21回会合議事録 20ページ
我々の研究から、ゲノムレベルでも、Slc:WsitarとF344ラットが非常に似ていることが判明しつつあります。
参考資料
日本エスエルシー株式会社カタログ
Maekawa et al., J Toxicol Sci 8:279-290, 1983
Tayama et al., Exp Anim 35:65-76, 1986
Yagami et al., Exp Anim 40:407-410, 1991
Slc:Wistarは日本エスエルシー社が生産しているウィスターラットです。
1968年に東京大学医科学研究所から導入されました。
10週齢で、雄250g前後、雌150g前後と比較的小型です。
このSlc:Wistarラットは確かにアウトブレッドラットですが、その遺伝的組成はF344(Fischer)ラットと非常に似ていることが以前から指摘されています。
例えば、成長曲線、生存率、腫瘍の発生部位や頻度などがF344ラットと類似していることが指摘されています。また、Slc:Wistarで得られた白血病細胞がF344ラットに移植できることから免疫系の類似点も指摘されています。
毒性学の分野では、Slc:WistarはF344に非常に似ているということはよく知られているようです。
内閣府の食品安全委員会の農薬専門調査会評価第二部会の委員のひとりがこんなことをおっしゃています。
「・・・このSlc:WistarはもともとFischerラットですので、・・・」
食品安全委員会 農薬専門調査会 評価第二部 第21回会合議事録 20ページ
我々の研究から、ゲノムレベルでも、Slc:WsitarとF344ラットが非常に似ていることが判明しつつあります。
参考資料
日本エスエルシー株式会社カタログ
Maekawa et al., J Toxicol Sci 8:279-290, 1983
Tayama et al., Exp Anim 35:65-76, 1986
Yagami et al., Exp Anim 40:407-410, 1991
2014年7月22日火曜日
Jcl:Wistar ― 日本クレアのウィスター
日本で入手できるアウトブレッドラット(その4)です。
Jcl:Wistarは日本クレア社が生産している2種類のウィスターラットのうちのひとつです。
もう1種類は、BrlHan:WIST@Jcl(GALAS)というものでした。
Jcl:WistarはWistar研究所(米国)に由来します。
1970年にCarworth Farm(英国)より導入されました。
カタログ等によりますと
12週齢で、雄300g前後、雌200g前後。
中型。
各種要因に対して優れた感受性があり、特に学習能力に優れている。
行動薬理、毒性、薬理、薬効試験や安全性試験など、幅広い分野の研究に使用されている。
104週生存率は、雄で75.4%、雌で44.8%
導入後、40年以上経過していますので、ある程度近交化が進んでいると思われます。
以前、我々はこのJcl:Wistarラットでは、ピンクアイダイリューションという毛色変異遺伝子がホモに固定していることを見つけました(Kuramoto et al, Mammalian Genome 2005)。
Jcl:Wistarはアルビノなので、毛色変異を持っていてもその効果が表現型として見えません。
ところが、有色のラットと交配するとこの毛色変異の効果が表に現れます。
我々がこのことに気付いたのは偶然でした。
Jcl:Wistar由来のアルビノのKaken Hairless Rat (KHR)というラットと有色のBrown Norway (BN) ラットとの交配実験を行ったときに、毛の色が薄くて、ピンク色の眼をしたラットが生まれてきたのです。
BNラットはピンクアイダイリューション変異を持っていないので、KHRラットがこの変異を持っていることは確実でした。そして、その由来となったJcl:Wistarまでもがピンクアイダイリューション変異を持っていることが判明したのです。
参考資料
日本クレア株式会社総合カタログ
日本クレア株式会社ホームページ
Jcl:Wistarは日本クレア社が生産している2種類のウィスターラットのうちのひとつです。
もう1種類は、BrlHan:WIST@Jcl(GALAS)というものでした。
Jcl:WistarはWistar研究所(米国)に由来します。
1970年にCarworth Farm(英国)より導入されました。
カタログ等によりますと
12週齢で、雄300g前後、雌200g前後。
中型。
各種要因に対して優れた感受性があり、特に学習能力に優れている。
行動薬理、毒性、薬理、薬効試験や安全性試験など、幅広い分野の研究に使用されている。
104週生存率は、雄で75.4%、雌で44.8%
導入後、40年以上経過していますので、ある程度近交化が進んでいると思われます。
以前、我々はこのJcl:Wistarラットでは、ピンクアイダイリューションという毛色変異遺伝子がホモに固定していることを見つけました(Kuramoto et al, Mammalian Genome 2005)。
Jcl:Wistarはアルビノなので、毛色変異を持っていてもその効果が表現型として見えません。
ところが、有色のラットと交配するとこの毛色変異の効果が表に現れます。
我々がこのことに気付いたのは偶然でした。
Jcl:Wistar由来のアルビノのKaken Hairless Rat (KHR)というラットと有色のBrown Norway (BN) ラットとの交配実験を行ったときに、毛の色が薄くて、ピンク色の眼をしたラットが生まれてきたのです。
BNラットはピンクアイダイリューション変異を持っていないので、KHRラットがこの変異を持っていることは確実でした。そして、その由来となったJcl:Wistarまでもがピンクアイダイリューション変異を持っていることが判明したのです。
参考資料
日本クレア株式会社総合カタログ
日本クレア株式会社ホームページ
2014年7月18日金曜日
BrlHan:WIST@Jcl(GALAS) - 日本クレアのウィスターハノーバ
日本で入手できるアウトブレッドラット(その3)です。
BrlHan:WIST@Jcl(GALAS)は日本クレアが生産しているウィスターハノーバラットです。
由来は、他社のウィスターハノーバラットと同様です。
Zentral Institut fur Versuchstierzucht (ハノーバ、ドイツ)に由来。
1989年に156ペアがInstitute for Biomedical Research (IBM)へ導入
(IBMはその後、BRL Ltd、RCC Ltdと改名され現在へ)
1998年にRCCからGALASメンバーへ分与
GALASとは、Global Alliance for Laboratory Animal Standardizationの略で、実験動物標準化のための世界協定です。この協定は、1998年10月、日本クレア、RCC(スイス)、M&B(デンマーク)、Taconic Farm(米国)の4社によってつくられました。この4社がGALASメンバーです。
日欧米の三極で使用されるウィスターハノーバの品質を、同一の生産・供給体制を構築することで保証しようというものです。
GALASメンバーが生産するウィスターハノーバの名前は以下の通りです。
日本クレア:BrlHan:WIST@Jcl(GALAS)
RCC:BrlHan:WIST@Brl(GALAS)
M&B:BrlHan:WIST@Mol(GALAS)
Taconic Farms:BrlHan:WIST@Tac(GALAS)
参考資料
日本クレア株式会社総合カタログ
Global Alliance for Laboratory Animal Standardization (GALAS)について
BrlHan:WIST@Jcl(GALAS)は日本クレアが生産しているウィスターハノーバラットです。
由来は、他社のウィスターハノーバラットと同様です。
Zentral Institut fur Versuchstierzucht (ハノーバ、ドイツ)に由来。
1989年に156ペアがInstitute for Biomedical Research (IBM)へ導入
(IBMはその後、BRL Ltd、RCC Ltdと改名され現在へ)
1998年にRCCからGALASメンバーへ分与
GALASとは、Global Alliance for Laboratory Animal Standardizationの略で、実験動物標準化のための世界協定です。この協定は、1998年10月、日本クレア、RCC(スイス)、M&B(デンマーク)、Taconic Farm(米国)の4社によってつくられました。この4社がGALASメンバーです。
日欧米の三極で使用されるウィスターハノーバの品質を、同一の生産・供給体制を構築することで保証しようというものです。
GALASメンバーが生産するウィスターハノーバの名前は以下の通りです。
日本クレア:BrlHan:WIST@Jcl(GALAS)
RCC:BrlHan:WIST@Brl(GALAS)
M&B:BrlHan:WIST@Mol(GALAS)
Taconic Farms:BrlHan:WIST@Tac(GALAS)
参考資料
日本クレア株式会社総合カタログ
Global Alliance for Laboratory Animal Standardization (GALAS)について
2014年7月16日水曜日
Crlj:WI ― チャールス・リバー社のウィスター
日本で入手できるアウトブレッドラット(その2)です。
Crlj:WIは日本チャールスリバー社が生産している2種類のウィスターラットのうちのひとつです。
もう1種類は、Crl:WI(Han)というウィスターハノーバラットというものでした。
このラットはWistar研究所(米国)に由来します。
1947年にWistar InstituteからScientific Products Farm (チャールスリバーUKの前身)へ導入
1975年にチャールスリバーUSAに移動
1981年に日本チャールス・リバーに導入
水腎症の発生率が低いという理由で選ばれたとのこです。
10週齢体重が、雄で310-410g、雌で200-270g と比較的大型
繁殖性良好
取り扱い容易
安全性、がん、神経系、循環器系、老化、免疫、代謝など様々な分野で利用されています。
ウィスターラットと呼ばれているものでも、種類によってその特性は様々です。
日本には、a) 戦前に導入されたウィスターラット、b) 戦後に導入されたウィスターラット、 c) ハノーバーウィスターラット の大きく分けて3つの種類があります、というかありました。
ありました、というのは、戦前に導入されたウィスターラットは、主に大学等で維持されており、現在では、アウトブレッドとして維持されているものはないためです。
というわけで、現在、日本で利用できるウィスターラットは、いわゆる”ウィスターラット”(戦後派)と比較的最近になって導入された”ウィスターハノーバ”となります。
各実験動物生産業者も、この2ラインナップを生産・販売していることが多いです。
別名
Crlj:Wistar
参考資料
日本チャールス・リバー株式会社2014総合カタログ
Charles River Laboratories ホームページ
Crlj:WIは日本チャールスリバー社が生産している2種類のウィスターラットのうちのひとつです。
もう1種類は、Crl:WI(Han)というウィスターハノーバラットというものでした。
このラットはWistar研究所(米国)に由来します。
1947年にWistar InstituteからScientific Products Farm (チャールスリバーUKの前身)へ導入
1975年にチャールスリバーUSAに移動
1981年に日本チャールス・リバーに導入
水腎症の発生率が低いという理由で選ばれたとのこです。
10週齢体重が、雄で310-410g、雌で200-270g と比較的大型
繁殖性良好
取り扱い容易
安全性、がん、神経系、循環器系、老化、免疫、代謝など様々な分野で利用されています。
ウィスターラットと呼ばれているものでも、種類によってその特性は様々です。
日本には、a) 戦前に導入されたウィスターラット、b) 戦後に導入されたウィスターラット、 c) ハノーバーウィスターラット の大きく分けて3つの種類があります、というかありました。
ありました、というのは、戦前に導入されたウィスターラットは、主に大学等で維持されており、現在では、アウトブレッドとして維持されているものはないためです。
というわけで、現在、日本で利用できるウィスターラットは、いわゆる”ウィスターラット”(戦後派)と比較的最近になって導入された”ウィスターハノーバ”となります。
各実験動物生産業者も、この2ラインナップを生産・販売していることが多いです。
別名
Crlj:Wistar
参考資料
日本チャールス・リバー株式会社2014総合カタログ
Charles River Laboratories ホームページ
2014年7月15日火曜日
Crl:WI (Han) ― チャールス・リバー社のウィスター・ハノーバ
日本で入手できるアウトブレッドラット(その1)です。
日本チャールス・リバーが生産しているウィスターラットは、2種類あります。
ひとつが、このCrl:WI (Han)、もうひとつが、Crlj:WIです。
もともとは、ドイツハノーバのZentral Institut fur Versuchstierzucht (実験動物繁殖中央研究所)のウィスターハノーバ(Han:WIST)に由来します。
このウィスターハノーバラットがスイスのBRL(Biological Resource Laboratories)に移され、Glaxo Wellcomeに供給。
1996年にチャールスリバーUKに導入。
1997年にチャールスリバーUSAに移動。
2007年に日本チャールスリバーに導入。
10週齢体重が、雄で約250g、雌で約180g と小型
生存率は104週で75%程度
平均産子数は9-10匹/腹
安全性、発がん性、老化などの分野で利用されています。
ある物質ががんを作るかどうかをラットを用いて試験します(がん原性試験)。
しかし、がんが体の中にできるには時間がかかります。そのため、使用するラットは長生きの方が試験期間中の歩留りがよく、経済的で、好まれます。
Wistar Hannoverラットは、生存率が2年で約75%と高いので、このような時間のかかる試験(がん、老化など)に適しているとされています。
Hannoverという名前からわかるように、Wistar Hannover ラットは主にヨーロッパにおいて安全性試験等に用いられてきました。このラットを毒性・薬理学分野での安全性試験でもちいる国際標準ラットとするための動きがありました。
しかし、アウトブレッドラットは遺伝的な統御が難しいので、繁殖集団が小さくなると瞬く間に繁殖コロニー間で分岐がおこります(遺伝的浮動を参照)。
そこで、生産コロニー間でラット同士をやりとりし、各コロニーを遺伝的組成を均一化する試みがなされています。この試みのうちチャールスリバー社で行われている遺伝管理方法を、International Genetic Standardization (IGS) といいます。
IGSの目的は、生産過程における近交化を最小限にし、ヘテロ接合性を維持し、コローニー間の分岐を回避することです。
別名
Wistar Han
Wistar Hannover
Hannover Wistar
Crl:WI(Glx/BRL/Han)IGS
参考文献
日本チャールス・リバー株式会社2014総合カタログ
日本クレア株式会社総合カタログ
日本チャールス・リバーが生産しているウィスターラットは、2種類あります。
ひとつが、このCrl:WI (Han)、もうひとつが、Crlj:WIです。
もともとは、ドイツハノーバのZentral Institut fur Versuchstierzucht (実験動物繁殖中央研究所)のウィスターハノーバ(Han:WIST)に由来します。
このウィスターハノーバラットがスイスのBRL(Biological Resource Laboratories)に移され、Glaxo Wellcomeに供給。
1996年にチャールスリバーUKに導入。
1997年にチャールスリバーUSAに移動。
2007年に日本チャールスリバーに導入。
10週齢体重が、雄で約250g、雌で約180g と小型
生存率は104週で75%程度
平均産子数は9-10匹/腹
安全性、発がん性、老化などの分野で利用されています。
ある物質ががんを作るかどうかをラットを用いて試験します(がん原性試験)。
しかし、がんが体の中にできるには時間がかかります。そのため、使用するラットは長生きの方が試験期間中の歩留りがよく、経済的で、好まれます。
Wistar Hannoverラットは、生存率が2年で約75%と高いので、このような時間のかかる試験(がん、老化など)に適しているとされています。
Hannoverという名前からわかるように、Wistar Hannover ラットは主にヨーロッパにおいて安全性試験等に用いられてきました。このラットを毒性・薬理学分野での安全性試験でもちいる国際標準ラットとするための動きがありました。
しかし、アウトブレッドラットは遺伝的な統御が難しいので、繁殖集団が小さくなると瞬く間に繁殖コロニー間で分岐がおこります(遺伝的浮動を参照)。
そこで、生産コロニー間でラット同士をやりとりし、各コロニーを遺伝的組成を均一化する試みがなされています。この試みのうちチャールスリバー社で行われている遺伝管理方法を、International Genetic Standardization (IGS) といいます。
IGSの目的は、生産過程における近交化を最小限にし、ヘテロ接合性を維持し、コローニー間の分岐を回避することです。
別名
Wistar Han
Wistar Hannover
Hannover Wistar
Crl:WI(Glx/BRL/Han)IGS
参考文献
日本チャールス・リバー株式会社2014総合カタログ
日本クレア株式会社総合カタログ
2014年7月14日月曜日
アウトブレッドとは、
ある集団が一定の大きさで維持されている実験動物では、「遺伝的浮動」によって、遺伝子組成に変化が出る可能性について述べました。
実験動物関連で、「遺伝的浮動」の影響を受けやすい集団とは、どのような集団でしょう。
条件としては、集団のサイズが限定されており、ヘテロ性が残存している集団です。
それは、アウトブレッド(outbred)と呼ばれる集団です。
アウトブレッドとは、インブレッド(inbred; 近交系)に対する語で、”遺伝的に明確ではない”集団のことをいいます。
例えば、マウスではCD-1, ICR, ddYなど、ラットではWistar, SDなどです。
ヘテロ性が残存していると考えられるので、雑種強勢(hybrid vigor)を示します。例えば、寿命が長い、病気に強い、性成熟が早い、産子数が多い、新生児の死亡率が低い、速い成長、サイズが大きいなどの形質を示します。
近交系に比べ、生産効率が良いので、安価です。そのため、様々な分野で汎用されています。
アウトブレッドの交配は、人為的な選抜を極力避けるよう、ランダム交配によります。しかし、本当にランダムな交配というのは不可能です。そこで、ローテンションシステムという方法で交配します。
要するに、世代を経ても、遺伝子頻度が変化しないように、交配方法を工夫します。
「遺伝的浮動」は避けられないものですが、その影響を極力小さくするために集団のサイズを大きくしています。
参考文献
Mouse Genetics concepts and applications p42
実験動物関連で、「遺伝的浮動」の影響を受けやすい集団とは、どのような集団でしょう。
条件としては、集団のサイズが限定されており、ヘテロ性が残存している集団です。
それは、アウトブレッド(outbred)と呼ばれる集団です。
アウトブレッドとは、インブレッド(inbred; 近交系)に対する語で、”遺伝的に明確ではない”集団のことをいいます。
例えば、マウスではCD-1, ICR, ddYなど、ラットではWistar, SDなどです。
ヘテロ性が残存していると考えられるので、雑種強勢(hybrid vigor)を示します。例えば、寿命が長い、病気に強い、性成熟が早い、産子数が多い、新生児の死亡率が低い、速い成長、サイズが大きいなどの形質を示します。
近交系に比べ、生産効率が良いので、安価です。そのため、様々な分野で汎用されています。
アウトブレッドの交配は、人為的な選抜を極力避けるよう、ランダム交配によります。しかし、本当にランダムな交配というのは不可能です。そこで、ローテンションシステムという方法で交配します。
要するに、世代を経ても、遺伝子頻度が変化しないように、交配方法を工夫します。
「遺伝的浮動」は避けられないものですが、その影響を極力小さくするために集団のサイズを大きくしています。
参考文献
Mouse Genetics concepts and applications p42
2014年5月27日火曜日
妻の旧姓をつけられたラット
ウィスターラットと並んでよく利用されるアウトブレッドラットにSDラットというのがあります。
SDとは、Sprague-Dawleyの略です。
今回は、SDラットの由来を見てみましょう。
オリジナルのストックは、1925年、ウィスコンシン大学の物理化学者である Robert Worthington Dawley 氏によって確立されました。
Spragueといのは、彼の最初の妻の旧姓で、自分の名字と併せて、Sprague-Dawleyと名付けたとのことです。
彼は、ウィスコンシン州のマディソンに Sprague-Dawley Inc.という会社を設立し、ラットの販売を始めました。Dawley氏の死後(1949年)、この会社は、ARS/Sprague-Dawley Companyとなり、今日では、Harlan Sprague-Dawleyとして世界的にも有名な実験動物供給元となっています。
さて、SDラットの由来です。
オリジナルのストックは、非常に大柄で元気な頭巾斑の雄ラット(ただし、アルビノをヘテロにもつ)に由来します。この雄ラットとアルビノの雌ラットを交配し、得られた産子のうち雌の産子に戻し交配をしました。このような戻し交配を7回繰り返し、アルビノのラットを用いて、複数ラインで、近交化を図りました。その中から、10頭を選び交雑しました。選抜の基準は、哺乳能力が高い、成長が早い、健康、気性がよい、亜ヒ酸(arsenic trioxide)に耐性があることです。
最初の雄ラットの由来は不明です。
交配に用いた雌ラットの由来は、Douredoure strainというもので、おそらくウィスター研究所に由来すると思われます。
現在でも、SDラットは複数の業者から購入可能です。
いずれの業者のカタログにも、SDラットは、性質温順、発育良好、繁殖良好、体型大型と紹介されています。つまり、選抜された特性を引き継いでいるのです。
ということは、現在のSDラットも亜ヒ酸に耐性があると想像されます。
参考文献
The Laboratory Rat: pp 32.
Rat Quality - A Consideration of Heredity, Diet and Disease: pp 86-97.
SDとは、Sprague-Dawleyの略です。
今回は、SDラットの由来を見てみましょう。
オリジナルのストックは、1925年、ウィスコンシン大学の物理化学者である Robert Worthington Dawley 氏によって確立されました。
Spragueといのは、彼の最初の妻の旧姓で、自分の名字と併せて、Sprague-Dawleyと名付けたとのことです。
彼は、ウィスコンシン州のマディソンに Sprague-Dawley Inc.という会社を設立し、ラットの販売を始めました。Dawley氏の死後(1949年)、この会社は、ARS/Sprague-Dawley Companyとなり、今日では、Harlan Sprague-Dawleyとして世界的にも有名な実験動物供給元となっています。
さて、SDラットの由来です。
オリジナルのストックは、非常に大柄で元気な頭巾斑の雄ラット(ただし、アルビノをヘテロにもつ)に由来します。この雄ラットとアルビノの雌ラットを交配し、得られた産子のうち雌の産子に戻し交配をしました。このような戻し交配を7回繰り返し、アルビノのラットを用いて、複数ラインで、近交化を図りました。その中から、10頭を選び交雑しました。選抜の基準は、哺乳能力が高い、成長が早い、健康、気性がよい、亜ヒ酸(arsenic trioxide)に耐性があることです。
最初の雄ラットの由来は不明です。
交配に用いた雌ラットの由来は、Douredoure strainというもので、おそらくウィスター研究所に由来すると思われます。
現在でも、SDラットは複数の業者から購入可能です。
いずれの業者のカタログにも、SDラットは、性質温順、発育良好、繁殖良好、体型大型と紹介されています。つまり、選抜された特性を引き継いでいるのです。
ということは、現在のSDラットも亜ヒ酸に耐性があると想像されます。
参考文献
The Laboratory Rat: pp 32.
Rat Quality - A Consideration of Heredity, Diet and Disease: pp 86-97.
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