日本で入手できるアウトブレッドラット(その5)です。
Slc:Wistarは日本エスエルシー社が生産しているウィスターラットです。
1968年に東京大学医科学研究所から導入されました。
10週齢で、雄250g前後、雌150g前後と比較的小型です。
このSlc:Wistarラットは確かにアウトブレッドラットですが、その遺伝的組成はF344(Fischer)ラットと非常に似ていることが以前から指摘されています。
例えば、成長曲線、生存率、腫瘍の発生部位や頻度などがF344ラットと類似していることが指摘されています。また、Slc:Wistarで得られた白血病細胞がF344ラットに移植できることから免疫系の類似点も指摘されています。
毒性学の分野では、Slc:WistarはF344に非常に似ているということはよく知られているようです。
内閣府の食品安全委員会の農薬専門調査会評価第二部会の委員のひとりがこんなことをおっしゃています。
「・・・このSlc:WistarはもともとFischerラットですので、・・・」
食品安全委員会 農薬専門調査会 評価第二部 第21回会合議事録 20ページ
我々の研究から、ゲノムレベルでも、Slc:WsitarとF344ラットが非常に似ていることが判明しつつあります。
参考資料
日本エスエルシー株式会社カタログ
Maekawa et al., J Toxicol Sci 8:279-290, 1983
Tayama et al., Exp Anim 35:65-76, 1986
Yagami et al., Exp Anim 40:407-410, 1991