2014年1月9日木曜日

第7回ラットリソースリサーチ研究会(平成26年1月31日)

今月末(1月31日)に、京都大学百周年時計台記念館にて、第7回ラットリソースリサーチ研究会を開催します。

これは、私が研究代表者をしているナショナルバイオリソースプロジェクト「ラット」が毎年この時期に主催している研究会です。その目的は、実験用ラットに関する最新のリソース開発状況の紹介とそれらラットリソースを用いた生物医学研究の紹介です。

近年、ZFN, TALENそしてCrisper/Cas9といったゲノム編集技術がラットにも適用できるようになりました。今後、遺伝子改変ラットの作製が加速化されると期待されています。遺伝子改変ラットが増大すると、これらのラットを保存し提供することが求められます。そのため、ナショナルバイオリソースプロジェクト「ラット」の重要性はますます高まると考えています。

今年の研究会の一押しは、Crisper/Cas9システムによる遺伝子改変ラットの開発に関する演題ではないでしょうか。

詳細はこちら↓


2014年1月6日月曜日

パワースポット吉田山

新年あけましておめでとうございます。
人生で47年目の年となります。

今年のお正月は、実家で元日から3日まで過ごしました。
4日に吉田神社へ初詣、その後、竹中稲荷、宗忠神社、真如堂と、神社、お寺を”はしご”しました。

吉田山は、東山の峰々から離れて、独立峰のようにこんもりとしており、京都平野のアクセントになっています。
また、京都平野の北東(鬼門)に位置しています。

その場所と形から、宗教的な立地条件があったと思います。
その証拠に、東西約500メートル、南北約1キロのなかに、吉田神社をはじめ、岡崎神社、宗忠神社、竹中稲荷などの神社や、真如堂、今戒光明寺(黒谷)などのお寺、それに、天皇陵が二墓あります。

私には来ていませんが、来る人には来るでしょう。
確実に、パワースポットです。

2014年1月5日日曜日

平成26年(2014年)の仕事始めにあたり

平成26年(2014年)の仕事始めにあたり所信を述べます。

京都大学大学院医学研究科附属動物実験施設は、医学研究科における研究支援を担っていいます。支援業務は、研究活動に比べると地味なものですが、研究を進める上でなくてはならないものです。その重要性は、医学研究科内の方々がお認めになっていると思います。

動物実験施設を長年使用している医学研究科内の先生方は、この動物実験施設が標準であり、「あたりまえ」ですが、当施設の設備・管理レベルは、他部局、他大学に比べて決して劣るものではありません。他の動物実験施設を利用してはじめて、この動物実験施設の良さが認識されることもあるようです。

現場においては、例年通り、『丁寧かつ誠実』な仕事を心がけてください。

利用者からは、クレームや、明らかなルール違反があるかもしれません。
そのようなことを見聞きした場合には、ひとりで対応、判断せずに、周りの同僚や上司に報告、相談してください。

医学研究科という枠を超え、京都大学、日本、そして、世界をも視野に入れ、実務に励んで頂きたいと思います。京都大学大学院医学研究科附属動物実験施設は、そういう視野をもって仕事をするのに値する施設と思っています。

本年もどうぞよろしくお願いします。

2013年12月21日土曜日

research oversight

医学生物学領域に関する国際原則 (The international Guiding Principles For Biomedical Research Involving Animals) は、10の原則からなります。
最後の原則です。

1. While implementation of these Principles may vary from country to country according to cultural, economic, religious, and social factors, a system of animal use oversight that verifies commitment to the Principles should be implemented in each country.
(私訳)これらの「原則」の履行は文化的、経済的、宗教的、社会的要因に従って、国によって様々であろう。しかし、「原則に従うことを保証するための監視システムは個々の国々で履行されなければならない。
(解説)「原則」に従って動物実験が行われているかを監視するシステムが必要

2. This system should include a mechanism for authorization (such as licencing or registering of institutions, scientist, and/or projects) and oversight which may be assessed at the institutional, regional, and/or national level.
(私訳)このシステムは、機関、科学者、プロジェクトへの免許付与や登録などといった権限付与の機序を含まなければならない。そして機関レベル、地域レベル、あるいは国レベルで、監視しなければならない。
(解説)

3. The oversight framework should encompass both ethical review of animal use as well as considerations related to animal welfare and care.
(私訳)監視の枠組みは、動物の使用についての倫理的審査ならびに動物の福祉とケアに関する考慮を含まなければならない。
(解説)

4. It should promote a harm-benefit analysis for animal use, balancing the benefits derived from the research or educational activity with the potential for pain and/or distress experienced by the animal.
(私訳)それは、コストーベネフィット解析を推進しなければならないし、それにより、研究や教育活動から得られるベネフィットと動物が被る潜在的な痛みや苦痛とのバランスをとることができる。
(解説)

5. Accurate records should be maintained to document a system of sound program management, research oversight, and adequate veterinary medical care.
(私訳)プログラム管理、研究監視、そして、適切な獣医学的ケアを記載するために、正確な記録を残さなければならない
(解説)

動物実験、実験動物を使用する場合は、この「原則」を最上位において行うべきという考え方です。
そのため、実験動物を用いた研究は、「原則」に沿って行われるべきで、その妥当性を担保するために、監視システムの設置が求められます。
つまり、研究のためには、どんな動物実験を行ってもよい、というわけではありません。だから、research oversightという言葉が出てくるのだと思います。倫理的、法的に適正な動物実験を行っているかを監視するシステムです。日本では、各機関の動物実験委員会がこれに該当するのでしょう。

2013年12月20日金曜日

It is the responsibility of the institution

医学生物学領域に関する国際原則 (The international Guiding Principles For Biomedical Research Involving Animals) は、10の原則からなります。
9つ目の原則です。

1. It is the responsibility of the institution to ensure that personnel responsible for the welfare, care, and use of animals are appropriately qualified and competent through training and experience for the procedures they perform.
(私訳)動物の福祉、ケア、使用について責任ある個々の研究者には、適切に資格が与えられ、訓練や経験を通して自身が行う手技を満たせるよう、研究機関は努めなければならない。
(解説)研究者個人ではなく、所属研究機関に責務がある


2. Adequate opportunities shoudl be provided for on-going training and education in the humane and responsible treatment of animals.
(私訳)動物の人道的で責任ある扱いに関する訓練と教育に関して、適切な機会が提供されなければならない。
(解説)

3. Institutions also are responsible for supervision of personnel to ensure proficiency and the use of appropriate procedures.
(私訳)機関はまた、個々の研究者が習熟できるよう指導すること、そして、適切な手技を用いることに対して責任を負う
(解説)

動物を適正に扱うことに関して、個々の研究者や現場の作業者に任せるのではなく、その所属機関の責任で、研究者や作業者に動物を適正に扱うよう指導、学習、訓練される必要性が述べられています。
機関全体で責任を負うということです。例えば、A大学のBさんが、不適切な動物実験を行った場合、その責任は、Bさんにあるのではなく、A大学全体にある、ということになります。Bさんが不適切な動物実験を行ったのは、Bさんを適切に指導できなかった管理者側(大学側)にあるということです。

2013年12月3日火曜日

バイオリソース勢ぞろい

神戸で開催されている第36回日本分子生物学会にて、ナショナルバイオリソースプロジェクトの展示がありました。
ナショナルバイオリソースプロジェクトは、文部科学省のプロジェクトで、生命科学研究に利用できる生物資源(バイオリソース)を体系的に整備しようとするものです。生物資源としては、動物、植物、細胞、遺伝子、情報などが含まれます。
このナショナルバイオリソースプロジェクトにおいて、私の所属機関は、2002年から実験用ラットを担当し、その収集・保存・提供を行っています。

今回、日本で最大規模の学術集会である分子生物学会の展示会場で、「バイオリソース勢ぞろい」と題した生物資源の展示がありました。そこで、私たちのプロジェクトの紹介をしてきました。

PCのディスプレイに映っているのが、ナショナルバイオリソースプロジェクト「ラット」のホームページ。左手前の置物は、ラット(左)とマウス(右)の模型です。
ラットの大きさを実感してもらうために、昨年、3Dプリンタで作製したものです。

ナショナルバイオリソースプロジェクト「ラット」のホームページはこちら
 ↓
http://www.anim.med.kyoto-u.ac.jp/nbr/

2013年11月29日金曜日

動物実験のエンドポイント

医学生物学領域に関する国際原則 (The international Guiding Principles For Biomedical Research Involving Animals) は、10の原則からなります。
8つ目の原則です。

1. Endopoints and timely interventions should be established for both humane and experimental reasons.
(私訳)人道的そして実験上の理由から、エンドポイントやタイムリーな介入というものが設定されなければならない。
(解説)エンドポイントとは、実験を終了する時点のことです。実験目標達成によるエンドポイントと人道的エンドポイントの2つがあります。実験計画の段階でこれらをあらかじめ設定する必要があります。

2. Humane endpoints and/or interventions should be established before animal use begins, should be assessed throughout the course of the study, and should be applied as early as possible to prevent, ameliorate, or minimize unnecessary and/or unintended pain and/or distress.
(私訳)人道的なエンドポイントやタイムリーな介入は、動物を使用する前に設定されなければならない。また、研究期間中ずっと評価されなければならない。さらに、不必要あるいは望まれない痛みや苦痛を防ぐ、軽減するあるいは最小限にするためにできるだけ速やかに適用されなければならない。
(解説)人道的エンドポイントについての文章です。

3. Animals that would be otherwise suffer severe or chronic pain, distress, or discomfort that cannot be relieved and is not part of the experimental design, should be removed from the study and/or euthanized using a procedure appropriate for the species and condition of the animal.
(私訳)さもなければ、取り除くことができず、実験計画には入っていない過酷なあるいは慢性的な痛み、苦痛や不快感を被るような動物は、研究から除外されなければならない。また、動物種に応じたそして個々の動物の状態に応じた手段でもって安楽死処分されなければならない。
(解説)

エンドポイントとは、実験を終了する時点のことです。
2つの観点から設定されます。
一つ目は、実験目標の観点から設定されるもので、「実験目標に対するエンドポイント」と呼ばれます。科学上の目的と到達目標の達成を優先した実験終了の時点のことです。
二つ目は、人道的観点から設定されるもので、「人道的エンドポイント」と呼ばれます。動物が受ける苦痛を未然に防ぎ、終結させ、もしくは取り除いた時点を指します。

一般的に、「人道的エンドポイント」は、動物種ごとにある程度決まった時点というのが想定されると思います。例えば、急激な体重減少や行動量の減少などから、動物の健康状態が推測できます。そして、それらのスコア化などを通して、「人道的エンドポイント」が設定できます。
侵襲性の低い実験であれば、「実験目標に対するエンドポイント」<「人道的エンドポイント」となり、動物にきわめて重度の苦痛をあたえることはないと思います。
侵襲性の高い実験の場合はどうでしょう。侵襲性の高い実験では動物に耐えがたい痛みを与えることがあります。この場合「実験目標に対するエンドポイント」>「人道的エンドポイント」となり、どちらを優先すべきかという問題に直面します。

動物実験は科学的な目的を達成するために行われるわけで、これが動物実験の定義でもあります。

そのため、動物実験を行うことは、必然的に実験目標に対するエンドポイント」を優先するということにつながるのではないでしょうか。結果として、「人道的エンドポイント」の設定が困難になります。例えば、『実験動物の管理と使用に関する指針(第8版)』の実験目標達成によるエンドポイントと人道的エンドポイントを説明する段落の最後の文は以下のとおりです(p29)。
「すべての実験において人道的なエンドポイントを適用すべきであるが、腫瘍モデル、感染症、ワクチンの効果試験、疼痛モデル、外傷、モノクローナル抗体の作製、毒性試験、臓器あるいは器官系の不全、循環器系ショックのモデルなどに関わる動物実験は、特別な検討が一般的に必要とされる。」
多くの動物実験は、ここに挙げられたような種類のものです。そのため、「人道的エンドポイント」を適用することは、耐え難い痛みや苦痛をどの程度のものとするか、その線引きによると思われます。そして、その線引きは、かなり難しいものとなるでしょう。

このような実験では、少なくとも、瀕死の状態を定義し、その状態に陥った動物は、速やかに安楽死処分することが、必要ではないでしょうか。そのためには、日々の動物の状態の観察が非常に重要と思います。