2014年2月11日火曜日

ドイツのd、伝染病研究所のd、予防衛生研究所のY

ddYマウスという日本で開発されたアウトブレッド(非近交系)マウスがいます。
薬効、薬理、毒性などさまざまな試験研究に利用されています。
このマウスの由来を記載した文章を見つけましたので、転記します。

『実験動物飼育管理の実際』
小山良修(東京女子医大教授)
今泉清(予研獣疫部長)
鈴木潔(伝研獣医学部)
田中利男(日本モンキーセンター)
1963年
医学書院

Ⅰ.飼育管理
1.マウス
1)まえがき
a. 種類・系統
”現在わが国で一番広く用いられているいわゆるdd系は秦佐八郎が、ドイツから持ちかえってサルバルサン検定に使用していたものが、旧満鉄衛生研究所・安東洪次のもとに伝わり、これが戦時中さらに伝染病研究所に送られて、封鎖集団 (closed colony)内での雑交配(random mating)がつづけられて来たものである。さらに昭和26年以来この集団をもとにして積極的に繁殖が再開され、dd系という名で伝染病研究所各研究部・東京大学に供給されるようになり、また各所にわたって繁殖され、繁殖箇所頭文字をつけてddD(伝染病研究所)、ddN(実験動物中央研究所)、ddO(大阪大学微生物病研究所)、ddT(武田薬品工業・光工場)、ddY(予防衛生研究所)などと呼ばれるようになった。したがって、dd系なるものは一般に近交系ではないが、一部では近交20代をすぎた近交系ddを保持しているところもある。”

伝染病研究所は、現在の東京大学医科学研究所。
予防衛生研究所は、現在の国立感染症研究所。

予研で開発された近交系DDYは、国立感染症研究所の獣医科学部実験動物開発室が移行した先の、医薬基盤研究所実験動物研究資源バンクから利用できます。