2014年7月13日日曜日

遺伝的浮動, random drift, genetic drift

集団の遺伝子頻度が世代間で偶然に変動することを「遺伝的浮動」といいます。

「遺伝的浮動」は、次世代に寄与する配偶子が無作為に抽出されることによって起こるので、遺伝子頻度は世代ごとに変化し、その変化の方向性もありません。

変化の程度は、集団のサイズが小さいほど大きくなります。
例えば、N個体からなる集団であれば、集団の平均ヘテロ接合体頻度は、1/2Nずつ減少します。

100個体からなる集団であれば、一世代ごとに1/200=0.5%づつヘテロ接合体の頻度は減少しますが、10個体からなる集団であれば、5%づつヘテロ接合体の頻度は減少します。

つまり、100個体であれば、0.5%ずつホモ接合体が現れるのに対し、わずか10個体の集団であれば毎世代5%ずつホモ接合体が現れることになります。

遺伝子頻度の変化にも方向性がないわけですから、集団が小さければ、数世代後には思いよらない遺伝子頻度をもった(それもホモ接合体の多い)集団に変化(化けている)可能性があります。

ある集団が一定の大きさで維持されている実験動物に当てはめてみましょう。
この場合、この集団の遺伝的組成は、数年前と現在とでは異なっている可能性があります。
そして、実験動物の遺伝的な組成は、表現型に影響を与えるものですから、実験の再現性にも影響が出てくる可能性があります。


参考文献岩波生物学辞典第4版 p81
Introduction of quantitative genetics (forth edition) p48



0 件のコメント: