CRISPR/Cas9システムを使って遺伝子改変ラット(ノックイン)を作製する方法を紹介しています。
今回は、ガイドRNAの発注です。
ガイドRNAを合成する方法はさまざまありますが、簡単なのはRNA合成を企業に発注することです。
2.ガイドRNAの発注
・Integrated DNA Technologies (IDT) に依頼する場合を紹介します。
IDTのHPにアクセス
CRISPR-Cas9 genome editingのページへ
Alt-R(TM) CRISPR-Cas9 crRNA, 10 nmolを発注
配列等を入力
・CRISPR-Cas9を働かせるには、tracrRNAとCas9 nucleaseが必要です。
これらも一緒に購入できます。
・語句説明
crRNA:ターゲットに特異的なRNAオリゴです。
tracrRNA:crRNAと結合し、Cas9と複合体を形成します。
Cas9 Nuclease 3NLS:crRNA:tracrRNA duplexに結合します。
核移行シグナルが3つ付加されています。
2017年3月23日木曜日
ガイドRNAのデザイン
CRISPR/Cas9システムを使って遺伝子改変ラット(ノックイン)を作製する方法を紹介します。
今回は、狙った遺伝子の配列を変えて、アミノ酸置換(ミスセンスあるいはナンセンス)させます。
1.ガイドRNAのデザイン
・ターゲット配列周辺のゲノムDNAを準備する。
・ガイドRNAのデザインサイトを利用
代表的なものとして、CRISPR DESIGN
search name*: 適当な名前を入れる
email address*: メールアドレスを入れる
今回は、狙った遺伝子の配列を変えて、アミノ酸置換(ミスセンスあるいはナンセンス)させます。
1.ガイドRNAのデザイン
・ターゲット配列周辺のゲノムDNAを準備する。
・ガイドRNAのデザインサイトを利用
代表的なものとして、CRISPR DESIGN
search name*: 適当な名前を入れる
email address*: メールアドレスを入れる
sequence type: other region (23-500 nt)を選択
target genome: rat (rn5)を選択
sequence: 貼り付ける
・Agree and Submitを押す。
・数分するとResults画面に変わるので、Guides & offtargetsを押して、結果をみる。
・貼り付けた配列上にデザインされたガイドRNAがスコア順にでてきます。
・ガイドRNAの3'側にはPAM配列が記載されています。
2017年3月6日月曜日
近交系数 (coefficient of inbreeding)
非常に小さい集団では、血縁関係のある個体同士の交配が行われます。これを近交 (inbreeding)といいます。近交の程度は、近交係数 (coefficient of inbreeding)で表します。
近交係数とは、ある個体の任意の遺伝子座位において2つの対立遺伝子が同一である確率、です。the probability that the two genes at any locus in an individual are identical by decent.
少し専門的ですが、この [identical by decent]とは、祖先が持っていたある対立遺伝子のコピーが、近交が起こった結果、次世代あるいはそれ以降の世代で「同一の」対立遺伝子のホモ接合となったことを言います。two genes that have originated from the replication of one single gene in a previous generation may be called identical by descent or simply identical.
そのため、近交係数とは、以下のように定義されます。
「1個体がある遺伝子座位についてホモ接合体であって、しかもその二つの対立遺伝子が共通祖先にあった1つの対立遺伝子に由来したものである確率」
実験動物のマウスやラットでは、兄妹交配を20世代以上行うことで、様々な近交系 (inbred strain) が作製されています。このような近交系では、近交係数が0.986以上になると言われています。
参考資料
Introduction to quantitative genetics (Falconer & Mackay)
人類遺伝学―基礎と応用―改訂第2版(金原出版)
近交係数とは、ある個体の任意の遺伝子座位において2つの対立遺伝子が同一である確率、です。the probability that the two genes at any locus in an individual are identical by decent.
少し専門的ですが、この [identical by decent]とは、祖先が持っていたある対立遺伝子のコピーが、近交が起こった結果、次世代あるいはそれ以降の世代で「同一の」対立遺伝子のホモ接合となったことを言います。two genes that have originated from the replication of one single gene in a previous generation may be called identical by descent or simply identical.
そのため、近交係数とは、以下のように定義されます。
「1個体がある遺伝子座位についてホモ接合体であって、しかもその二つの対立遺伝子が共通祖先にあった1つの対立遺伝子に由来したものである確率」
実験動物のマウスやラットでは、兄妹交配を20世代以上行うことで、様々な近交系 (inbred strain) が作製されています。このような近交系では、近交係数が0.986以上になると言われています。
参考資料
Introduction to quantitative genetics (Falconer & Mackay)
人類遺伝学―基礎と応用―改訂第2版(金原出版)
2017年3月2日木曜日
ミスセンス変異によるタンパク質の機能変化の予測
遺伝子のタンパク質コーディング配列に点変異が生じ、その結果コドンが変化し、蛋白質のアミノ酸が置換するような変異をミスセンス変異(missense mutation)と言います。
ミスセンス変異によるアミノ酸の置換が、タンパク質の機能に影響をおよぼすかどうかを、in silicoで予測することができます。
予測プログラムは、予測方法によって、以下の3つグループに分けられます。
1.進化的に保存された配列に基づく方法(sequence and evolutionary conservation-based methods)
進化の過程で保存されている領域はタンパク質の構造や機能に重要であるという予測にもとづく。
SIFT, Align-GVGD, PANTHERなど
ミスセンス変異によるアミノ酸の置換が、タンパク質の機能に影響をおよぼすかどうかを、in silicoで予測することができます。
予測プログラムは、予測方法によって、以下の3つグループに分けられます。
1.進化的に保存された配列に基づく方法(sequence and evolutionary conservation-based methods)
進化の過程で保存されている領域はタンパク質の構造や機能に重要であるという予測にもとづく。
SIFT, Align-GVGD, PANTHERなど
2.タンパク質の配列と構造に基づく方法(protein sequence and structure-based methods)
置換前のアミノ酸と置換後のアミノ酸の性質が似ていれば、タンパク質の構造に変化を及ぼしやすく、反対に、似ていなければタンパク質の構造に変化を及ぼすと考えられる。アミノ酸置換によってタンパク質の構造に変化が生じるかを予測。
PolyPhen-2など
置換前のアミノ酸と置換後のアミノ酸の性質が似ていれば、タンパク質の構造に変化を及ぼしやすく、反対に、似ていなければタンパク質の構造に変化を及ぼすと考えられる。アミノ酸置換によってタンパク質の構造に変化が生じるかを予測。
PolyPhen-2など
3.ニューラルネットワークを用いた学習に基づく方法(supervised-learning methods)
疾患に関連する変異と関連するとは知られていない変異のデータセットを用いて学習させる。
PMut, SNAP, PhD-SNPなど
参考
Misense Prediction Tool Catalogue
PMut, SNAP, PhD-SNPなど
参考
Misense Prediction Tool Catalogue
2016年7月19日火曜日
三種混合麻酔薬
以下の三種類の薬剤を混合し、マウスやラットの麻酔薬として用いる。
1)メデトミジン medetomidine
麻酔薬
オピオイド
拮抗薬として、ブトルファノールとアチパメゾール
商品名:Domitor 日本全薬工業
2)ミダゾラム midazolam
鎮静薬
ベンゾジアゼピン類
商品名:Dormicum アステラス製薬
3)ブトルファノール butorphanol
麻薬性鎮痛薬
商品名:Vetorphale 明治製菓ファーマ
濃度は以下の通り
メデトミジン:0.15mg/kg体重
ミダゾラム:2.0mg/kg体重
ブトルファノール:0.75mg/kg体重
特徴は、麻薬指定されている薬剤を用いない。麻酔死が少なく安全。アチパメゾールという拮抗薬を投与することで、急速に回復。
その他:
滅菌生理食塩水での希釈
4度あるいは室温に保存しても、少なくとも8週間は安定
投与経路は、腹腔内投与あるいは皮下投与
麻酔からの回復には、アチパメゾールをメデトミジンの5倍量を皮下投与
参考資料:
LABIO21 No65, July 2016
ラボラトリーアニマルの麻酔 Flecknell著
Kirihara et al., (2016) Exp Anim 65:27-36
1)メデトミジン medetomidine
麻酔薬
オピオイド
拮抗薬として、ブトルファノールとアチパメゾール
商品名:Domitor 日本全薬工業
2)ミダゾラム midazolam
鎮静薬
ベンゾジアゼピン類
商品名:Dormicum アステラス製薬
3)ブトルファノール butorphanol
麻薬性鎮痛薬
商品名:Vetorphale 明治製菓ファーマ
濃度は以下の通り
メデトミジン:0.15mg/kg体重
ミダゾラム:2.0mg/kg体重
ブトルファノール:0.75mg/kg体重
特徴は、麻薬指定されている薬剤を用いない。麻酔死が少なく安全。アチパメゾールという拮抗薬を投与することで、急速に回復。
その他:
滅菌生理食塩水での希釈
4度あるいは室温に保存しても、少なくとも8週間は安定
投与経路は、腹腔内投与あるいは皮下投与
麻酔からの回復には、アチパメゾールをメデトミジンの5倍量を皮下投与
参考資料:
LABIO21 No65, July 2016
ラボラトリーアニマルの麻酔 Flecknell著
Kirihara et al., (2016) Exp Anim 65:27-36
F344ラット亜系統におけるdipeptidyl peptidase IV (DPP4)/CD26活性の違い
dipeptidyl peptidase IV (DPP4)という酵素があります。
この酵素は、ペプチドを基質に、そのN末のジペプチドを遊離させます。
ホルモン制御、免疫反応、腎ペプチドの加水分解などに重要な働きをしていると考えられています。
実は、F344ラットのうち、日本チャールス・リバー社のF344ラットは、この遺伝子にミスセンス変異(Gly633Arg)をもっており、DPP4活性が欠損しています。
他方、日本SLCのF344、日本クレアのF344は、この遺伝子は正常で、DPP4活性を持っています。
マウスに高脂肪食を与えると、肥満や高インスリン血症になりますが、DPP4遺伝子のノックアウトマウスに高脂肪食を与えても、肥満、インスリン血症になりません。
おそらく、ラットでも同様のことがいえると思います。F344ラットを用いて高脂肪食で肥満を誘発する実験を行う場合は、どのブリーダーのF344を用いるか考慮する必要があります。
追加:
チャールス・リバー社のF344ラットのうち、ドイツのチャールス・リバーのF344はDPP4が欠損しています。しかし、米国チャールス・リバー社のF344はDPP4活性があります。
参考資料:
Watanabe et al., (1987) Experimentia 43:400-401
Thompson et al., (1991) Biochem J 273:497-502
Tsuji et al., (1992) Biochemistry 31:11921-11927
Erickson et al., (1992) JBC 267:21623-21629
この酵素は、ペプチドを基質に、そのN末のジペプチドを遊離させます。
ホルモン制御、免疫反応、腎ペプチドの加水分解などに重要な働きをしていると考えられています。
実は、F344ラットのうち、日本チャールス・リバー社のF344ラットは、この遺伝子にミスセンス変異(Gly633Arg)をもっており、DPP4活性が欠損しています。
他方、日本SLCのF344、日本クレアのF344は、この遺伝子は正常で、DPP4活性を持っています。
マウスに高脂肪食を与えると、肥満や高インスリン血症になりますが、DPP4遺伝子のノックアウトマウスに高脂肪食を与えても、肥満、インスリン血症になりません。
おそらく、ラットでも同様のことがいえると思います。F344ラットを用いて高脂肪食で肥満を誘発する実験を行う場合は、どのブリーダーのF344を用いるか考慮する必要があります。
追加:
チャールス・リバー社のF344ラットのうち、ドイツのチャールス・リバーのF344はDPP4が欠損しています。しかし、米国チャールス・リバー社のF344はDPP4活性があります。
参考資料:
Watanabe et al., (1987) Experimentia 43:400-401
Thompson et al., (1991) Biochem J 273:497-502
Tsuji et al., (1992) Biochemistry 31:11921-11927
Erickson et al., (1992) JBC 267:21623-21629
2016年7月14日木曜日
イソフルラン:薬物代謝酵素への影響が少ない吸入麻酔薬
イソフルランは、マウス・ラットの吸入麻酔薬として利用されています。
導入と覚醒が非常に早く、麻酔の深度も容易かつ迅速に変えることができます。
非刺激性、非引火性であることも実験を行う上で、重要です。
動物の50%を不動化させるのに必要な濃度(肺胞内の濃度:Minimum Alveolar Concentration)は、マウスで1.41%、ラットで1.38%です。
実験をするうえでの最大の特徴は、代謝率が0.2%と非常に低いことです。肝臓のミクロソームの酵素への影響は少なく、薬剤の代謝および毒性研究にほとんど影響しないと考えられています。
参考:
『ラボラトリーアニマルの麻酔』Flecknell著、倉林譲監修
ラビオ21 No.65 (Jul 2016)
導入と覚醒が非常に早く、麻酔の深度も容易かつ迅速に変えることができます。
非刺激性、非引火性であることも実験を行う上で、重要です。
動物の50%を不動化させるのに必要な濃度(肺胞内の濃度:Minimum Alveolar Concentration)は、マウスで1.41%、ラットで1.38%です。
実験をするうえでの最大の特徴は、代謝率が0.2%と非常に低いことです。肝臓のミクロソームの酵素への影響は少なく、薬剤の代謝および毒性研究にほとんど影響しないと考えられています。
参考:
『ラボラトリーアニマルの麻酔』Flecknell著、倉林譲監修
ラビオ21 No.65 (Jul 2016)
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