溶けるという現象を以前、説明しました。
溶媒が水の場合、水は極性をもつので、極性をもつ分子を溶かすことができます。
では、グルコースは水によく溶けるのに、グルコースが連なったでんぷんはなぜ水に溶けにくいのでしょう?
グルコースは、分子中に-OH基を5個持っています。このーOH基が極性をもつので、水分子が引きつけられグルコース分子を取り囲み、グルコースを水に溶かします。
一方、デンプンはグルコースが連なったもので、グルコース1単位当たりーOH基を3つもちます。デンプン分子には、-OH基がたくさん含まれるので、水に溶けそうなものですが、水には溶けにくいですね。
その理由は、デンプンのーOH基はデンプン分子内の他のーOH基を引きつけるのに使われるからです。デンプンはせっかくの-OH基を水に取り囲んでもらうのに使うのではなく、自分自身の形を保つのに使います。結果的に、デンプンはらせん状の立体構造をとります。
どぶねずみ王国
2019年5月9日木曜日
2019年5月8日水曜日
農大飼養学_006_溶けるということ
あるものが「溶ける」ということは、どのような状態のことでしょうか?
その状態とは、溶けるもの(溶質)が分子1個ずつに分解してバラバラになり、溶かすもの(溶媒)の分子に取り囲まれている状態をいいます。
例えば、砂糖が水に溶けている状態とは、砂糖(=溶質)の分子が、水の分子(=溶媒)に取り囲まれた状態です。
では、水はどのような分子を取り囲みやすいでしょう?
水は極性を持っています。分子の中にプラスとマイナスの電荷をもちます。
そのため、水はプラスとマイナスの電荷をもつ物質を取り囲みやすいです。
つまり、水は極性をもつ分子をよく溶かします。
参考文献
バイオ研究者がもっと知っておきたい化学ー溶液の性質
その状態とは、溶けるもの(溶質)が分子1個ずつに分解してバラバラになり、溶かすもの(溶媒)の分子に取り囲まれている状態をいいます。
例えば、砂糖が水に溶けている状態とは、砂糖(=溶質)の分子が、水の分子(=溶媒)に取り囲まれた状態です。
では、水はどのような分子を取り囲みやすいでしょう?
水は極性を持っています。分子の中にプラスとマイナスの電荷をもちます。
そのため、水はプラスとマイナスの電荷をもつ物質を取り囲みやすいです。
つまり、水は極性をもつ分子をよく溶かします。
参考文献
バイオ研究者がもっと知っておきたい化学ー溶液の性質
2019年5月7日火曜日
農大飼養学_005_図書紹介『栄養学を拓いた巨人たち』
栄養学を拓いた巨人たち「病原菌なき難病」征服ドラマ
杉 治夫 著
2013年」4月20日 第1刷発行
講談社ブルーバックスY940
栄養学の進展が、歴史順にコンパクトにまとめられている。栄養学に出てくるキーワード(言葉)や概念がどのようにして作られたか、発見されたかを、栄養学に貢献した研究者のエピソードを通じて知ることができる。物語風に書かれているので、なじみやすい。栄養学の入門書として適している。(おススメ度:おススメ)
<著者の紹介と執筆の動機>
著者の杉治夫氏は帝京大学医学部名誉教授、専門は筋肉の生理学。
実父で生理学者の杉靖三郎が亡くなり、その蔵書の中に、ビタミンの発見の様子を描写した雑誌を発見した。その物語のドラマ性に惹かれ栄養学の進展に貢献した研究者を紹介するためにこの本を執筆した。
<内容>
この本で紹介されている研究者は、ラボアジェ(体内では食物がゆっくりと燃焼していることを示した)、ベルナール(代謝を解明)、マッカランなどビタミンの発見者たち、クレブス(クエン酸回路を発見)などである。
<コメント>
栄養は、生物が外界から物資を取り入れ、それを自身の体や機能にに役立つ物質に変化させることである。
栄養学の歴史を概観して、栄養の本体とは体の中で起こる化学であること、つまり、体の中で起こる物質の化学変化とエネルギー変換であることを理解しよう。
栄養素やビタミンの発見は、食物をすりつぶして脂溶性、水溶性のものに分け、さらにそれらを化学的な性質によって分けるという分析的な手法によりなされた。
栄養学は分析的な手法を用いて特定の物質を見つけ、その機能を明らかにするという、まさに「自然科学」の王道の学問として成立してきたことが分かる。
杉 治夫 著
2013年」4月20日 第1刷発行
講談社ブルーバックスY940
栄養学の進展が、歴史順にコンパクトにまとめられている。栄養学に出てくるキーワード(言葉)や概念がどのようにして作られたか、発見されたかを、栄養学に貢献した研究者のエピソードを通じて知ることができる。物語風に書かれているので、なじみやすい。栄養学の入門書として適している。(おススメ度:おススメ)
<著者の紹介と執筆の動機>
著者の杉治夫氏は帝京大学医学部名誉教授、専門は筋肉の生理学。
実父で生理学者の杉靖三郎が亡くなり、その蔵書の中に、ビタミンの発見の様子を描写した雑誌を発見した。その物語のドラマ性に惹かれ栄養学の進展に貢献した研究者を紹介するためにこの本を執筆した。
<内容>
この本で紹介されている研究者は、ラボアジェ(体内では食物がゆっくりと燃焼していることを示した)、ベルナール(代謝を解明)、マッカランなどビタミンの発見者たち、クレブス(クエン酸回路を発見)などである。
<コメント>
栄養は、生物が外界から物資を取り入れ、それを自身の体や機能にに役立つ物質に変化させることである。
栄養学の歴史を概観して、栄養の本体とは体の中で起こる化学であること、つまり、体の中で起こる物質の化学変化とエネルギー変換であることを理解しよう。
栄養素やビタミンの発見は、食物をすりつぶして脂溶性、水溶性のものに分け、さらにそれらを化学的な性質によって分けるという分析的な手法によりなされた。
栄養学は分析的な手法を用いて特定の物質を見つけ、その機能を明らかにするという、まさに「自然科学」の王道の学問として成立してきたことが分かる。
2019年4月26日金曜日
三種混合麻酔の調整法
三種混合麻酔の特徴を以前紹介しました。
ここでは、実際に調整する具体的な方法を紹介します。
市販のメデトミジン(商品名・ドミトール)、ミダゾラム(商品名:ドルミカム)、ブトルファノール(商品名:ベトルファール)は液体の状態で販売されています。
それぞれの濃度は、以下の通りです。
ラット体重100g当りの必要量(mg)は、以下の通りでした。
なので、ラット体重100g当りの必要量(mg)を含む量(mL)は以下の通りになります。
生理食塩水でかさ増しし、切りのよい数字にしましょう。
しかし、測り取るのが大変ですね。なので、すべて20倍にして測り取りましょう。
できました。このようにして調整した麻酔薬のうち0.5mLを用いれば、体重100gのラットを麻酔できます。
ここでは、実際に調整する具体的な方法を紹介します。
市販のメデトミジン(商品名・ドミトール)、ミダゾラム(商品名:ドルミカム)、ブトルファノール(商品名:ベトルファール)は液体の状態で販売されています。
それぞれの濃度は、以下の通りです。
- ドミトール 1 mg/mL
- ドルミカム 5 mg/mL
- ベトルファール 5 mg/mL
ラット体重100g当りの必要量(mg)は、以下の通りでした。
- ドミトール 0.015 mg
- ドルミカム 0.20 mg
- ベトルファール 0.25 mg
なので、ラット体重100g当りの必要量(mg)を含む量(mL)は以下の通りになります。
- ドミトール 0.015 mL
- ドルミカム 0.040 mL
- ベトルファール 0.050 mL
生理食塩水でかさ増しし、切りのよい数字にしましょう。
- ドミトール 0.015 mL
- ドルミカム 0.040 mL
- ベトルファール 0.050 mL
- 生理食塩水 0.395 mL
- 0.500 mL
しかし、測り取るのが大変ですね。なので、すべて20倍にして測り取りましょう。
- ドミトール 0.3 mL
- ドルミカム 0.8 mL
- ベトルファール 1.0 mL
- 生理食塩水 7.9 mL
- 10.0 mL
できました。このようにして調整した麻酔薬のうち0.5mLを用いれば、体重100gのラットを麻酔できます。
2019年4月24日水曜日
農大飼養学_004_脂質とは
脂質(lipid)とは、タンパク質、糖質に対応する言葉です。
グリセリンと脂肪酸のエステルです。
なので、加水分解すると脂肪酸を遊離します。
生体を構成する脂肪酸は、長い炭化水素鎖をもちます。
最大で24個の炭素原子からなりますが、最も多い脂肪酸はC16やC18のような偶数個の炭素原子からなる脂肪酸です。
脂質は官能基をもたないものとしてしても定義づけられています。
官能基をもたないので、水素結合を形成する能力に欠け、多くは水に溶けません。(逆に、多くの脂質は非極性な有機溶媒には溶けます。)
以上の脂質の特徴とまとめますと、
参考文献
エッセンシャル生化学
生化学辞典
Bloor, W. R. "Biochemistry of the Fats". Chem. Rev. 1925, 2, 243–300.
グリセリンと脂肪酸のエステルです。
なので、加水分解すると脂肪酸を遊離します。
生体を構成する脂肪酸は、長い炭化水素鎖をもちます。
最大で24個の炭素原子からなりますが、最も多い脂肪酸はC16やC18のような偶数個の炭素原子からなる脂肪酸です。
脂質は官能基をもたないものとしてしても定義づけられています。
官能基をもたないので、水素結合を形成する能力に欠け、多くは水に溶けません。(逆に、多くの脂質は非極性な有機溶媒には溶けます。)
以上の脂質の特徴とまとめますと、
- 水に不溶だが、有機溶剤に溶ける。
- 加水分解により脂肪酸を遊離する。
- 生物体により利用される。
参考文献
エッセンシャル生化学
生化学辞典
Bloor, W. R. "Biochemistry of the Fats". Chem. Rev. 1925, 2, 243–300.
2019年4月18日木曜日
農大飼養学_003_栄養と栄養素
「ちゃんと栄養とってますか?」よく言われませんか?
実は、この質問間違っています。
なぜなら、「栄養」という言葉が間違って使われているからです。
「栄養」とは、「生物が、外界から物質を摂取し、それによって体の機能を維持し高めること」をいいます。
摂取する物質の個々のものを「栄養素」といいます。
「栄養」とは現象(こと)であり、「栄養素」は具体的な物質(もの)を指します。
なので厳密には、
「ちゃんと栄養してますか?」あるいは「ちゃんと栄養素とっていますか?」という質問になると思います。
区別して使いたいものです。
参考:岩波生物学辞典
実は、この質問間違っています。
なぜなら、「栄養」という言葉が間違って使われているからです。
「栄養」とは、「生物が、外界から物質を摂取し、それによって体の機能を維持し高めること」をいいます。
摂取する物質の個々のものを「栄養素」といいます。
「栄養」とは現象(こと)であり、「栄養素」は具体的な物質(もの)を指します。
なので厳密には、
「ちゃんと栄養してますか?」あるいは「ちゃんと栄養素とっていますか?」という質問になると思います。
区別して使いたいものです。
参考:岩波生物学辞典
2019年4月16日火曜日
農大飼養学_002_飼養学の位置づけ
飼養学は、飼養を科学的に分析して、効率的で再現性のある飼養を目的とします。
なぜ飼養をするのでしょうか?
人間が動物の生産物(タンパク質、脂質、労役など)を得るためです。
効率よく生産物を得るには、「えさ」と動物の体の中で起こっていること、つまり「代謝」を対象とした分析が必要です。
えさの分析に関しては、飼料学。
代謝に関しては、栄養学があります。
まとめると、飼養学は、飼料学、栄養学を含む学際的な学問です。
また、飼育管理に関する分野も含みます。いつ、どれくらいのえさを与えるか?動物種ごとに適したえさは?なども重要ですから。
最後に、生化学によって、えさ、代謝、生産物は、タンパク質、アミノ酸、ビタミンなどの分子の形で理解されています。さらに、分子生物学的解析により遺伝子レベルでの理解も進んでいます。
なぜ飼養をするのでしょうか?
人間が動物の生産物(タンパク質、脂質、労役など)を得るためです。
効率よく生産物を得るには、「えさ」と動物の体の中で起こっていること、つまり「代謝」を対象とした分析が必要です。
えさの分析に関しては、飼料学。
代謝に関しては、栄養学があります。
まとめると、飼養学は、飼料学、栄養学を含む学際的な学問です。
また、飼育管理に関する分野も含みます。いつ、どれくらいのえさを与えるか?動物種ごとに適したえさは?なども重要ですから。
最後に、生化学によって、えさ、代謝、生産物は、タンパク質、アミノ酸、ビタミンなどの分子の形で理解されています。さらに、分子生物学的解析により遺伝子レベルでの理解も進んでいます。
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