2013年12月21日土曜日

research oversight

医学生物学領域に関する国際原則 (The international Guiding Principles For Biomedical Research Involving Animals) は、10の原則からなります。
最後の原則です。

1. While implementation of these Principles may vary from country to country according to cultural, economic, religious, and social factors, a system of animal use oversight that verifies commitment to the Principles should be implemented in each country.
(私訳)これらの「原則」の履行は文化的、経済的、宗教的、社会的要因に従って、国によって様々であろう。しかし、「原則に従うことを保証するための監視システムは個々の国々で履行されなければならない。
(解説)「原則」に従って動物実験が行われているかを監視するシステムが必要

2. This system should include a mechanism for authorization (such as licencing or registering of institutions, scientist, and/or projects) and oversight which may be assessed at the institutional, regional, and/or national level.
(私訳)このシステムは、機関、科学者、プロジェクトへの免許付与や登録などといった権限付与の機序を含まなければならない。そして機関レベル、地域レベル、あるいは国レベルで、監視しなければならない。
(解説)

3. The oversight framework should encompass both ethical review of animal use as well as considerations related to animal welfare and care.
(私訳)監視の枠組みは、動物の使用についての倫理的審査ならびに動物の福祉とケアに関する考慮を含まなければならない。
(解説)

4. It should promote a harm-benefit analysis for animal use, balancing the benefits derived from the research or educational activity with the potential for pain and/or distress experienced by the animal.
(私訳)それは、コストーベネフィット解析を推進しなければならないし、それにより、研究や教育活動から得られるベネフィットと動物が被る潜在的な痛みや苦痛とのバランスをとることができる。
(解説)

5. Accurate records should be maintained to document a system of sound program management, research oversight, and adequate veterinary medical care.
(私訳)プログラム管理、研究監視、そして、適切な獣医学的ケアを記載するために、正確な記録を残さなければならない
(解説)

動物実験、実験動物を使用する場合は、この「原則」を最上位において行うべきという考え方です。
そのため、実験動物を用いた研究は、「原則」に沿って行われるべきで、その妥当性を担保するために、監視システムの設置が求められます。
つまり、研究のためには、どんな動物実験を行ってもよい、というわけではありません。だから、research oversightという言葉が出てくるのだと思います。倫理的、法的に適正な動物実験を行っているかを監視するシステムです。日本では、各機関の動物実験委員会がこれに該当するのでしょう。

2013年12月20日金曜日

It is the responsibility of the institution

医学生物学領域に関する国際原則 (The international Guiding Principles For Biomedical Research Involving Animals) は、10の原則からなります。
9つ目の原則です。

1. It is the responsibility of the institution to ensure that personnel responsible for the welfare, care, and use of animals are appropriately qualified and competent through training and experience for the procedures they perform.
(私訳)動物の福祉、ケア、使用について責任ある個々の研究者には、適切に資格が与えられ、訓練や経験を通して自身が行う手技を満たせるよう、研究機関は努めなければならない。
(解説)研究者個人ではなく、所属研究機関に責務がある


2. Adequate opportunities shoudl be provided for on-going training and education in the humane and responsible treatment of animals.
(私訳)動物の人道的で責任ある扱いに関する訓練と教育に関して、適切な機会が提供されなければならない。
(解説)

3. Institutions also are responsible for supervision of personnel to ensure proficiency and the use of appropriate procedures.
(私訳)機関はまた、個々の研究者が習熟できるよう指導すること、そして、適切な手技を用いることに対して責任を負う
(解説)

動物を適正に扱うことに関して、個々の研究者や現場の作業者に任せるのではなく、その所属機関の責任で、研究者や作業者に動物を適正に扱うよう指導、学習、訓練される必要性が述べられています。
機関全体で責任を負うということです。例えば、A大学のBさんが、不適切な動物実験を行った場合、その責任は、Bさんにあるのではなく、A大学全体にある、ということになります。Bさんが不適切な動物実験を行ったのは、Bさんを適切に指導できなかった管理者側(大学側)にあるということです。

2013年12月3日火曜日

バイオリソース勢ぞろい

神戸で開催されている第36回日本分子生物学会にて、ナショナルバイオリソースプロジェクトの展示がありました。
ナショナルバイオリソースプロジェクトは、文部科学省のプロジェクトで、生命科学研究に利用できる生物資源(バイオリソース)を体系的に整備しようとするものです。生物資源としては、動物、植物、細胞、遺伝子、情報などが含まれます。
このナショナルバイオリソースプロジェクトにおいて、私の所属機関は、2002年から実験用ラットを担当し、その収集・保存・提供を行っています。

今回、日本で最大規模の学術集会である分子生物学会の展示会場で、「バイオリソース勢ぞろい」と題した生物資源の展示がありました。そこで、私たちのプロジェクトの紹介をしてきました。

PCのディスプレイに映っているのが、ナショナルバイオリソースプロジェクト「ラット」のホームページ。左手前の置物は、ラット(左)とマウス(右)の模型です。
ラットの大きさを実感してもらうために、昨年、3Dプリンタで作製したものです。

ナショナルバイオリソースプロジェクト「ラット」のホームページはこちら
 ↓
http://www.anim.med.kyoto-u.ac.jp/nbr/