国際医科学機構評議会 (Council for International Organizations of Medical Sciences, CIOMS) の医学生物学領域に関する国際原則 (The international Guding Principles For Biomedical Research Involving Animals) が2012年12月に改訂されました。
今回は、1985年に公表されたものを、CIOMSとICLAS (International Council For Laboratory Animals Science) が協働で改訂しました。
原文は英語版のみです。
日本語訳が、日本実験動物協会の情報誌LABIOに出ています。
これは、東北大学の笠井先生が中心となって翻訳されたものです。
前文の最終段落です。英語の原文のあとに、笠井訳を参考に、私訳と解説をのせます。
1. The use of animals in research, education and testing is an essential component of the advancement of our understanding about human and animal function.
(私訳)研究、教育、試験に動物を用いることは、ヒトや動物の機能に関する我々の理解を進展させるための必須の構成要素である。
(解説)動物実験は、我々の理解を進展させるための、ひとつの構成要素にすぎないが、必須のもの。ヒトのためだけにあるのではない、動物のためでもある。
2. This knowledge is important for advancing human and animal health and welfare throught disease prevention and cures, new treatments, and drug and device development.
(私訳)この知識は、疾患の予防と治療、新しい治療法、薬や機器の開発を通して、ヒトと動物の健康と福祉を進展するために重要である。
(解説)医学生物学領域に関する国際原則なので、疾患の治療や予防を、中心に考えている。
3. The scientific community, understanding that using animals is a privilege entrusted by society, remains committed to ensureing the health and welfare of animlas as an integral consideration when animals are used for these purposes.
(私訳)科学コミュニティは、動物を用いることが社会から委ねられた特権であることを理解し、動物が上記の目的のために用いられる際に欠くことのできない配慮として、動物の健康と福祉を確保するよう全力を傾けるなければならない。
(解説)動物実験を行うことは、社会から特別に許された権利。それゆえ、義務が発生する。その義務とは、動物の健康と福祉に確保するよう全力を傾けること。
私が注目したのは、"using animals is a privilege entrusted by society" の部分です。
こういう考え方があるために、動物実験を行うためのライセンス制や、社会への説明責任という考え方が出てくるのだと感じました。